最終話 告白

 2人ともカレーライスを食べ終わったので礼子は食器を下げてくれた。優しい。僕は密かに誰にも言っていないことがある。それをこれから話そうと思う。


「礼子。話したいことがあるんだ」

「なに?」

「食器洗ってからでいいよ」

「うん、じゃあ、すぐ終わらせちゃうから」


 10分くらいで食器洗いは終わった。そして、僕の方に来て座った。

「僕ら付き合って半年が経つよな。まだ、半年しか経ってないけど、僕と結婚してくれないか?」

 彼女は驚いたのだろう、目をくりくりさせている。

「え、それって真面目な話し? 嘘じゃなくて?」

 僕は鼻で笑った。

「嘘なわけないだろ。こういう話し」

「そっか。うん、嬉しい。でも、すぐじゃなきゃだめ?」

「早すぎるか?」

 礼子は俯いた。そして、こう言った。

「私の勝手な話しだけど、30歳までは独身を謳歌おうかしようと考えているの。だからそれまで独身でいよう?」

 礼子の話しに僕は絶句した。礼子は今、25歳。あと5年もある。でも、続けられる自信はある。きっと、彼女も同じことを思って言っているのだろう。


「わかったよ。それまで楽しく過ごそうな」

 礼子は満面の笑みを浮かべ、

「私の気持ちを受け入れてくれるんだね! ありがとう!」

 と言い、僕はこう言った。

「受け入れるしかないだろう。無理矢理、結婚するわけにいかないし。どちらかが折れないといけないんだ」

 礼子は感心したような表情で僕を見ている。

「健は大人ね。尊敬しちゃう」

 そう言われ、僕は照れた。

「ありがとう。これから喧嘩をする時もあるかもしれないけれど、よろしくな!」

「こちらこそよろしくお願いします!」


                  *


 前川健は寛大な男性だと私は思う。22歳の若さで私のわがままをきいてくれるんだから。しかも、彼を振った形になったからどうなるだろうとハラハラしたが結果オーライ。私は幸せ者。5年後はもっとお互い大人になっているだろうから、理解力は更に深まっているだろう。これからも末永く仲良く過ごしていけたらいいな。


                  *


 僕は結婚を先延ばしにされてしまった。でも、僕らの関係がだめになったわけじゃない。多少のショックはあるけれど、でも、大したことじゃない。僕は広岡礼子が大好きだ。彼女がいないと生きていけないくらいに。だからこそ、5年先延ばしにされても承諾したのだ。正直、未来はどうなるかわからない。でも、お互い努力して、支え合い一緒になれたらなと思う。


                                     終

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【連載小説】僕らの未来  遠藤良二 @endoryoji

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