第7話 彼女と過ごす時間

あんまりお金お金と僕は言いたくない。いやらしい感じがして。でも、かかる経費は現実だ。礼子にばかり負担をかけるわけにはいかない。彼女はビールをゆっくり呑んでいる。それでいいんだ。焦って呑んでも美味しくないだろう。30分くらいかけて飲み干した。礼子は空き缶をもって立ち上がり、「さあ、カレーライス作るよ」 と、彼女は言った。「おう、よろしくな」 礼子は久しぶりにビールを呑んだからか、少し足元がふらついている。まあ、大丈夫だろう。  僕は、礼子がカレーを作っている間もテレビを観ながらビールを呑んでいた。僕は3本目をあけた。彼女は言った。「強いねえ、毎日そんなに呑んでるの?」 僕は礼子の質問に答えた。「まさか。今日は礼子が来てくれているから嬉しくて。それでたくさん呑んでるんだ」「そうなんだね。それは嬉しいわ」


 テレビでは中東の国だろう、戦争のニュースが流れている。僕は結構ニュースを観る。スマートフォンにもニュースのアプリが2個入っているし。礼子が言った。「相変わらずニュース好きねえ、面白い?」 僕は答えた。「面白いし、情報収集のためさ」 礼子は感心しているように言った。「なるほどねえ」


 今の時刻は夜9時半頃。礼子は言った。「カレーライスできたよ。今すぐ食べる?」「ああ、食べる。因みに礼子も食べたい。ギャハハハッ」 普段は下ネタは言わないけれど、酔った勢いで言った。でも、礼子は僕の下ネタに乗ってきた。「後でね」 でも真面目な返事で逆に嬉しい。そう、彼女は真面目なのだ。本人が言うには、付き合っている人としかそういう行為はしないと言っていた。そう言われると安心する。男好きな彼女じゃなくてよかった。僕だけを見てくれているから。


 礼子はカレーライスをトレーに載せて運んできた。「お待たせ。お腹空いたでしょ。たくさん食べてね」「うん、ありがとう」 大きい皿が僕の分で小さめの皿が礼子の分。僕は空になったビールの缶を床に置いて、皿を置くスペースを作った。カレーのいい匂いがする。「旨そう!」 彼女は笑みを浮かべている。たまに夕食を作ってくれるけど、礼子の手料理は美味しい。食べてみた。「うん! 旨い!」「ありがとう。最近、カレーライス作ってなかったから上手くできるか気になってたの」 彼女の意外な発言に僕は言った。「礼子は何でも美味しく作れそうだけどね」 すると彼女は、「いやいや、そんなことないよ。でもありがとう」 少し自信なさ気の彼女を見てかわいいと思った。


                  つづく……

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