第11話 その後の台無し
あれから、俺たちの証言をもとに、ピエロたちの組織は、あっさり壊滅した。さまざまな事件を起こしてきながら、しっぽをつかませなかったあいつらも、まさかこんな理不尽に潰されるなんて思ってもいなかっただろう。
思ってもいなかったと言えば――
あの島から脱出する際、東京駅に俺たちはテレポートしたんだが、そこで最後に、自分たちの役がなんだったのか話すことにした。
結果、八幡不知がもちろん『悪魔』、金助が『村人』、泉が『賢者』、累ヶ淵が『狩人』に相当する『勇者』ということだった。
そして、鈴ヶ森が『悪魔』ということだった。
何より驚いたのは、各役が「初日の晩から行動可能だった」ということ。
だが八幡不知は、結局何もできなかったのだと言う。そりゃそうだ。いきなり殺しができるヤツなんてそうそういるはずがない。
また、累ヶ淵は、俺を守護の対象にしていたそうだ。理由は、役が振られる前に一番怪しいと思ったから、逆にそこに『悪魔』が当たると出来過ぎな気がするから逆張りした、との事だった。「自分の運の悪さなら、ストレートに予想が当たるわけないですから……」と逆に自信満々な累ヶ淵もどうかと思うが……。
なんにせよ、俺は彼女に守られていたわけだ。
そこで気になるのが――
鈴ヶ森は「初日に動いたのだろうか?」ということだ。
もしそうなら、だれも死んでないのは「守護されている俺を選んだ」から?
そう聞いてみたら、
「どうかな~? 大川くんは私の秘密を知ってるからね~。真っ先に狙うかもよ~?」
と笑っていた。
秘密って……その……あれのことだよな……。
あれのせいで殺されてたかもと思うと、背筋が冷たくなる。うっかり寝てしまっていた自分もどうかと思うが、完全に無防備だったしな……。
冗談なのかも知れないが、少なくとも俺にはそれが本音か全くわからなかった。
どちらにせよ、頭で勝負しなくてよかったと思う。ホントに。
こうして、大きな謎を一つ残したまま、今回の事件は幕を閉じた。
つくづく、自分がトラブル体質だと思い知ったが、それは甘いと思い知らされた。
今も、まさに、サメの大群に追いかけられてるんだが、それについては、また今度話すとしよう。
(第一部完)
異世界転生して世界を救って戻ってきたらデスゲームに巻き込まれた件 がっかり亭 @kani_G
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