第50話 最終話
あれから随分経つがダンジョンを50作って50攻略するのにずいぶん手間取ったな。
“ブブッ”
『実績達成、ダンジョンのランクを下限まで引き下げることができるようになりました』
「こんだけやってそれだけかよ」
もっとこうなんかなかったのかよ?
「いや、これはいいかもしれないぞ?」
「ん?」
「ランクはいくつまで下限が出来てるんだ?」
「え?えーとっ!Zランクまでだ、凄いな」
「えー、それはつまり?」
「安心なダンジョンが作れるってことだよ」
「そりゃすげえっすね」
ヒントアプリからは相変わらずどんどんと問題が出てくるが、なんとかこなしている。
今は海外遠征しているところだ。
やはりダンジョンボードが足りないのでスキルを持ってない人もいるし、しょうがないからダンジョンコアの極悪ダンジョンのやつを使ったら一万個出来たのでそれを配って回っている。
まぁついでにダンジョンを攻略したり増やしたりしてるんだけどな。
最近十六夜とユカリが妙に色っぽく感じてきたがいかんいかん、俺にはカグヤがって、カグヤのオッケーが出たって?
「カグヤ!出来たのか?」
「はい!子供を授かりました」
「それでもカグヤ一筋だからな」
「それでも諦められないから十六夜にユカリもここにいるんです。嫌いじゃないでしょ?」
「ま、まぁ、嫌いじゃないが」
「なら正妻の私が許します」
「カグヤ」
「十六夜は素直な子、ユカリは優しい子ですから」
結局日本の法律では認められないけど二人とも元気な男の子を出産した。目に入れても痛くない子が三人も出来た。
「十六夜、ユカリ、二人にしてくれないか」
「はいはい、やっぱり最後はカグヤだね」
「カグヤ、今度は負けない」
外から元気な男の子と女の子の声が聞こえる。
「ダンジョン行こうぜ!」
「私はランクアップしたから一つ上に行きたいんだけど」
「嘘だろ!俺も行きたい!」
「ならランクアップしてからにしよ」
「おう!」
小学生がダンジョンに行く時代になったか。
今は蝉が鳴いているな。
「俺は魔王にはなれなかった落ちこぼれだ」
「そんなことはないよ、私の勇者だよ」
俺はもうすぐ死ぬだろうがユニークはどうなるんだろうか。
“ブブッ”
スマホも型遅れでどうしようもないのになんだって今頃?
『お疲れ様でした。ヒントアプリを終了します』
「ははっ、やっと終わりだってよ、俺で終了してくれてよかったよ」
「そうですね、貴方が最初で最後の魔王で勇者だったのかもしれませんね」
「ゴホッ!ゴホッ!あー、疲れたなぁ、ゆっくり休めるからどっか行きたいところはあるか?」
「貴方となら何処にでも」
「そっか、なら天国で待ってるよ」
「はい、浮気はダメですよ?貴方はモテるから」
「あぁ、君を待つ…」
「あぁ、待っててください」
ダンジョン最盛期に活躍したタクマが死んだ。
ダンジョンはタクマのおかげで身近なものになった。ランクZからあるおかげで小学生でも危なくないダンジョンを生成したからだ。
ダンジョン産業も活発化して国から海外へと走り回った一生だったが苦ではなかった。
ただ一つ悔いがあるとすればもう一つの魔王になり損ねた自分も見てみたかった。
もしかしたら勇者のユニークを持った者に倒されてダンジョンのない世界になったかもしれないからだ。
それならそれで良かったような気もする。
まぁ、これでもだいぶ頑張って動いたんだから許してほしい。
タダスケはだいぶ前に逝ってしまった。
奥さんはまだ元気にしている。
シンジはまだ元気だ。
結局は独り者だけどな。
ユカリと十六夜は結局俺のとこに住み着いたな。最後はカグヤと二人にしてもらったけどな。
タマキに真希も元気にしてるみたいだ。この前海外から手紙が来たな。
ダンジョンで見つけたものも多く、この世界はダンジョンなしでは生きていけないだろうな。
結局始まりのダンジョンはあったけど終わりのダンジョンは見つからなかったなぁ。
俺が終わらせないといけなかったかな?
まぁ、今更そんなこと言われても出来ないけどな。
死ぬってのは怖いモノだと思っていたが、ここまで生きてくると案外悪くはないな。
ダンジョンに振り回されたけどそれもまたよしとしよう。
ダンジョンの、ある生活はまた今度だな。
ダンジョンのある生活 あに @sanzo
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