第49話 失格
人間は醜い、生き汚い、根絶やしにするんだ。
人間は脆い、守るべき光だ、たいせつにするんだ。
人間は醜い
人間は強い
人間は、
俺はどうなんだ?
「はっ!はっ、はっ、はっ」
「魔王が起きたぞー!」
「タクマ!」
俺はいつ意識を無くしたんだ?
「タグまぁー」
カグヤが泣いている。どうしてだ?
「ほら、コーヒーでも飲んで落ち着け」
タダスケがコーヒーカップを渡してくる。
「あ、ありがとう」
「ほら、いつものタクマさんですね」
真希が笑ってこっちを見てる。
“カラン”
「ん?」
「だグマああ」
十六夜が抱きついてくる。
「よがっだぁー」ユカリもいつの間にか抱きついている。
ここはあのボス部屋か、あれから何をしてたんだっけ、えーと。
「お前が王冠を手にしてから変になったんだ」
そうだった。人間の汚い部分が鮮明に思い出される。
「で、頭に乗せようとしたからカグヤが止めたんだ」
あぁ、そうか、この暖かいのはカグヤが止めてくれたからか。
コーヒーを一口飲むと苦味がきて咽せてしまう。
「お子ちゃまには苦かったか?」
「いやちょうどいい」
スッキリしてきたな。
あれは覚醒なんかじゃなくて催眠だ。
あれを俺が被ってたらと思うとゾッとする。
カグヤに感謝だな。
「かぐや、ありがとう」
「タクマ、どういたしまして」
それから王冠は加工屋に入れたが何にもならないので捨てることにした。
ダンジョンの端から蹴り飛ばした。
クリスタルの剣は俺が持つと勇気の証として腕輪になった。剣にはいつでも変えられるようだ。いい剣をもらったな。
階段を降りると一際でかいダンジョンコアが虹色じゃなく金色に光っている。
それに触るとユニークが貰えた。
俺が貰ったのは『魔王に打ち勝つ力』だ。
ダンジョンコアを収納すると部屋に戻る。
「さぁ、ようやく真極悪ダンジョンを攻略できたなぁ」
タダスケ、
「そっすね!これでどんなランクでも通用するっす」
シンジ、
「タクマはやめないよね?」
「辞めないよ」
ユカリ、
「あー、あーしは疲れたぁー」
タマキ、
「私の旦那様」
十六夜、
「だめでしょ?もう結婚してるんだし」
真希、
「まぁ、少しくらいなら貸してもいいけど?」
カグヤ?
「おいおい、貸してもいいってなんだよ」
俺が言うと、
「うそっ!貸してもあげない!」
慌てて訂正する可愛いカグヤだ。
「嘘はダメ、貸してもらう」
「あー、わたしもー」
十六夜にユカリ、俺はものじゃないぞ?
“ブブッ”
『実績達成、ダンジョン生成及び消滅をインストール』
「げっ!こんなのどうしようもないじゃんかよ」
「まぁ、このままでいいと思うぞ?」
「っすね!」
タダスケもシンジも他人事だと思って!まぁ使わなければいいだけの話なんだがな。
「んじゃランクSSSダンジョンを生成するぞ?」
「いや、あれは流石にきついって!」
「このパーティーでもきつかったんですから」
タダスケもシンジもちょっとビビっていた。
「けっ!俺はいじけるぞ」
「タクマはよくやったよ」
「っすよ!だからSSSはやめましょうよ」
タダスケとシンジが慌ててフォローしてくる。
「あははは、あーしはまた行ってもいいよ?」
「こら、変なこと言って!もう懲り懲りですぅ」
真希は懲り懲りみたいだな。
「よし!国に直談判」
「私も行きます!」
何をしにだよ。
「タクマが無事で良かった」
カグヤが一番良いこといったな。俺の嫁はやっぱり決まってるだろ?
俺はあんな人の醜いところだけ見たところでみんなのことを嫌いになれないからな、魔王は失格だ。
魔王に失格なんてあるのかわからんけどな。
パーティーメンバーに支えてもらってれば大丈夫だ。
暗黒龍はほんとに魔王になりたかったのか?
まぁ、今となってはわからないことだけどさ。
“ブブッ”
ヒントアプリがまた難題を出してきた。
・ダンジョンを50個作る 0/50
・ダンジョンを50個攻略 0/50
はぁ、やるよ、やればいいんでしょ!
「みんな集まってくれ」
「はぁ?まじかよ」
「50作ってそれを攻略?なに考えてんだ?」
「それってやる意味あるの?」
「さぁ?ヒントアプリだからなぁ」
「文句ばっか言ってないでタクマに力貸してあげて」
「私はいつでもタクマ1番」
「わ、私だって1番です」
何を言っても聞かないよな?
「私がタクマの中で1番なんだから!ね?」
「おう。カグヤが俺の嫁だ」
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