Letter in a Bottle with Love ~ ~
零
第1話
私はここで、ずっと見つめています。
何かできるわけではないのです。
私はただの傍観者です。
この世界には、たくさんの言葉が、声が、溢れています。
それは、時に鋭い刃となり、時に柔らかな布となり、誰かの元へと届きます。
けれど、中にはどこにも届くことなく、いつの日か忘れ去られた言葉があります。
誰かを癒し、誰かを守り、誰かを勇気づけ、誰かを救う。
そんな可能性の光を帯びた言葉たちが、外へ出ることなく、深淵にてほのかに光りながら降り積もっています。
どんな理由で、届けることが出来なかったのか、私には分からないけれど。
言葉の海の中でいくつか私が見つけた小さな光を、私はそっと拾い上げました。
そしてそれらをビンに詰めて波にゆだねることにしました。
時間と空間を越えて、誰かの元へ届くように。
愛を以て届くように。
それは、当初その言葉が生み出されたときは、想定されていない相手かもしれない。
けれど、世界という名の大きな存在は、いつも、くだらないこだわりや常識を全て越えて不思議な縁を結ぶ。
私は、その波を信じている。
この世界が、そこに生きる命たちに絶え間なく送る愛を。
忘れられた言葉たちは、きっとその手助けになる。
そう願い、祈りを込めて。
Letter in a Bottle with Love ~ ~ 零 @reimitsuki
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