第6話 コンビニ
昼休みも終わって午後の授業になった。特に変わったこともなく、帰りのホームルームになる。
「皆さん、今日の授業お疲れ様でした。これから忙しくなっていくと思いますが、少しずつ慣れていきましょう。ちなみに明日は休日ですね。新しい生活が始まって疲れていると思うので、ゆっくり休んで下さい。さようなら。」
「さようなら。」
挨拶を返して今日も放課後になる。明日が休日だという喜びを噛みしめながら、今日はこれから何するかと考える。そんな中、ふと思う。草深さんはこれから何をするのだろう?
聞いてみようとした時、他の子が草深さんに話しかけた。
「ねぇ、草深さん一緒に吹奏楽部見学に行かない?先輩がもう一回来て欲しがってたよ。私も一緒に行きたいし、・・・どうかな?」
「誘ってくださりありがとうございます。ですが私はこれから用事がありますので、今回は遠慮させてもらいます。すみません。」
「そっか・・・分かった。先輩にも伝えとくね。じゃあね。」
そう言うとその子は去って行った。草深さんもバックを持って教室を出る。どうやら今日は用事があるみたいだ。話しかけれなかった事を残念に思いながらも帰る事にする。帰ったらアニメでも見ようかな。
今日は部活が無いので早く家に着く事ができた。まぁ、何の部活に入るかまだ決めてもいないんだけど。とりあえずそれは後日決めるとして・・・。
今日みたいに早く帰って来れた日、僕にはルーティンがある。
「ただいま。」
「・・・」
まずは、家に誰もいない事の確認をする。母はこの時間はまだ働いているのでいない。父は家からは遠い場所で働いているので、平日は家にいない。問題は姉である。姉はいるかいないかが分からないのだ。でも僕が帰ってきた事が分かればすぐに来るので、今日はいないみたいだ。
誰もいない事を確認したらすぐさまに手を洗い、キッチンからポテチやチョコなどのお菓子を取ってテレビの前に行く。ここから僕の時間が始まる。ちなみに今日はアニメを見る事にしている。家族がいると見れないようなエロやグロが強いやつを見よう。
「はわわわわ。」
思ったよりこのアニメ色々とすごい。何というかすごいむんむんだ。・・・これはみんなの前で見たら恥ずかしくて死んでたな。
しばらくエッチぃアニメを見て満足したので、床に寝そべりながらスマホで自分の好きなアニメキャラのグッズを調べる。
「これ明日発売するんだ。値段は・・・千五百円か。」
どうしよう、しばらく貯金するって決めてたのにな。・・・グッズ我慢するしかないか。
その後もやる事がなく、スマホを触ってゴロゴロとしていたら六時になってしまった。
「今日は姉貴遅いな。」
そんな事を考えていると、鍵の開く音がした。噂をすれば・・・。
「ただいま。」
「お帰り姉貴、遅かったね。」
「そうなんだよー。友達に勉強教えてたら遅くなっちった。もしかして、私がいなくて寂しかった?」
「別に寂しくない。うるさい奴がいなくて快適だった。」
「もう、そんな事言ってー。ってうわああ!?」
姉が急に叫び出した。
「びっくりした、急にどうした?」
「コンビニでスイーツ買うの忘れてた!」
「・・・それだけ?」
「それだけ?じゃないよ、自分へのご褒美だったのに。というわけで買ってきて。」
「なんで僕が?」
「お願い、私受験生だから。」
「勉強しないくせに。」
「うるさいわね。・・・仕方ない報酬をやろう。五百円渡すから余ったお金あげる。」
「・・・了解。」
お金が欲しかったので引き受ける事にした。
コンビニは家から歩いて十分ぐらいの所にある。あんまり遠くないからこの報酬はありがたい。コンビニに行くと予想外の人物に会った。向こうもこっちに気がついたみたいで、人の通らなさそうなところで話す。
「草深さん、こんばんは。」
「こんばんは、田村君。」
「凄い偶然だね。」
「そうですね。」
顔に出ないから、驚いているのかが分からない。
「何か買いに来たの?」
「はい。スイーツを買いに来ました。」
「おぉ凄い!僕もスイーツ買いに来たんだ。」
「そうですか、では買いに行きましょう。」
「そうだね。」
会話をやめて、買いに行く事にした。姉にどのスイーツがいいのか聞くのを忘れたため一番安いやつを買う事にした。草深さんは大福を買っていた。二人共買い物が終わって外に出る。
「それではさようなら。」
「じゃあね。」
それぞれ挨拶をして帰路に着く。
——それにしても部活の時といい、草深さんにはよく出会う。もしかして運命なのかもしれない。
・・・なんてね。そんなわけないか。
月を見上げてそう思った。
氷の女王とのお付き合い ワイワイ @18RD
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