第17話 真相
ここはいつもの元開拓村で拠点としている草臥れた家の中。
「さて、今日集まって貰ったのは色々と事実が明らかになったからだ。
その情報の摺り合わせをこれから行う。
その前に皆には今まで黙っていたことがある。
まずはその事について聞いて欲しい。
私はこの世界とは別の世界で生まれそして死に、転生してきた転生者だ。
今私達がいる世界とは異なり魔法が存在していなく、科学技術が発達した世界からやって来た。
今まで黙っていて済まない」
「主様はそれで何か変られるのですか?」
と、ガンマ。
「いや、私としては特に今までと変った行動をするつもりはない。
だが、今回新しく手に入れた情報もあって、私が持っている知識をこの世界でも役立てていける様にはしたいと思っている」
「で、あるならば私としては特に何かありません」
「ご主人様はご主人様だよ!」
「ありがとう、ガンマ、デルタ」
「ふ、そうですね。私達が救われたのはそんな主様だからなのでしょう」
と、ベータ。
「特に問題は無さそうね。貴方」
最後に声を上げたのはアルファだった。
「ああ、そうだね。
さて、話しを戻そう。
今回の調査先で何があり、私がどんな物を授けられたのかを」
そこまで話しをした後、私はコフ・グトゥから授けられた知識を皆に語って聴かせた。
テトラグラマトン教団の成り立ち。
腐肉病患者の真実。
そして、現在世界で信仰されているシナイ教とテトラグラマトン教団との関係性を。
「まだまだ、色々と話さなければいけないことはあるけれども、それは今後時間を掛けて資料として纏めていく予定だ」
「私達の相手となる存在がそんな規模だったなんて」
アルファがそう言葉を零す。
「確かに敵は巨大だ。
だが、その巨大が故にその動きは鈍重で、しかも統一されていないものだ。
そこに活路を見出すことは可能だろう。
勿論、そう容易いことではないかもしれないが、私は知ってしまった以上、このまま静観するつもりはない。
もし、この話を聞いても着いてきてくれるというなら。力を貸してくれないか?」
と、皆に問いかける。
するとアルファから順に。
「私は貴方に命を助けられた存在。
その最後の瞬間まで貴方に尽くしましょう」
「私もです。主様」
「どうか、この身をお好きな様にお使いください」
「ご主人様の言う事に従うです!」
「ありがとう。
とは言えだ、当面の間はこの前に語った様に組織力強化が最優先となるだろう。
それと同時に相手の技術力に対抗出来るだけの技術も身につける必要もある。
これに関しては、私はコフ・グトゥから授けられた知識と、私の前世の知識を総動員して開発をこれから行っていこう。
重ね重ね言うが、これは先の見えない長い戦いになるだろう。
それでも、ガートゥン・ディス・リヒトの名に恥じぬ様、腐肉病患者…いや、この世界の歪さからの開放をする一筋の光とならんと活動していこうではないか!」
こうして決意を新たにした私達は今まで精力的に活動を行う様になって行った。
そして私が十歳になる頃、私の姉が王都貴族院に向かう年。
本格的に活動範囲を広げる決断をする事にした。
それまで確保した腐肉病患者を癒やして仲間にした者達を二手に分けたのだ。
一方はコフ・グトゥが霧の結界で守っていた古都ゴスラーを中心にして活動するもの。
もう一方は王都に活動拠点を築く者達。
古都ゴスラーを中心に活動するのは私とデルタを中心にしたメンバー。
王都で新たな活動拠点を築く役割を担うのは、アルファとガンマを中心にしたメンバー。
そして、アルファ達には姉さんの護衛も頼み、私が王都の貴族院に通うことになるまでの二年後の再会を祈り別れを告げるのだった。
アム・スタークストゥン Uzin @Uzin
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