第3話 潜入ミッション開始

、、ザバッ、、ザバンザバン、、


遠くの方から波のような音が聞こえてくる

、、三途の川だろうか、、


そうか、オレ、あのクソ女に撃たれて、、


「はっ!?」


あわてて起き上がる、辺りは真っ暗だった


「地獄?」


バッタンバッタン!


「うおっ!?」


独り言をつぶやいていると、地面が跳ね上がって転がってしまう


ゴロゴロゴロ、むにゅん


転がった先で、なにか柔らかいものに顔面がつっこんだ

息ができない


「ふがふが!」


顔を上げると


「よぉ、お目覚めかよ?旦那様」


金髪碧眼女のアイリガル少尉がオレを見下ろしていた


「ぷはっ!おまえ!撃ちやがったな!このやろー!

、、あれ?なんでオレ死んでないんだ?」


「それよりもよぉ、、

俺のオッパイ鷲掴みにするの、、

やめてくれねーか、、」


少しだけ赤くなって目を逸らすアイリガル


「オッパイ?」

むにゅむにゅ


オレは両手でモミンモミンしているのがアイリガルのオパーイだと気づく


「ご!ごごご!ごめんなさい!!」


あわてて飛び退いた


バタンバタン

ザバッ


後ろに下がっても、地面は引き続き揺れている


「なんだここ?」


キョロキョロと周りを見渡すと、そこは海の上だった

オレたちはゴムボードに乗って、夜の海を移動している

アイリガルの後ろには、エンジンを操作する軍服の女がもう1人いた


「少尉、目的地にはあと5分ほどで到着します」


「了解だ」


「目的地?」


「敵国の軍事施設だ」


「なんでそんなところに向かってんだ!?」


「敵国のミサイルの設計図を盗むためだ」


「そうかそうか、ご苦労様です

じゃ、オレはその辺でおろしてもろて」


「だめだ、テメェも一緒に行くんだよ」


「なんでだよ!イヤだよ!」


「はぁぁぁ、、観念しろよ、旦那様

もうテメェのジジイと我が国の魔法契約は済んでるんだからよぉ

拒否したら斬首刑だ」


「は?」


「だからもう観念して任務に集中しろ

おまえは鍵開けてるだけでいいからよ」


「あの、斬首刑とは一体?」


「首をちょんぱすることだ」


アイリガルが右手で親指を立てて、自分の首を切るような動作をする


「そんなのあんまりだ!オレ関係ないのに!」


「うるせぇなぁ、文句はテメェのジジイに言えよ」


「ひどいひどい!」


「だまれ、もう一発いっとくか?」


また銃口をつきつけられてしまった

グロックだろうか、連射ができそうなピストルだ


「、、アイアイサー」


「いい子だぜ、旦那様」


ニヤリと笑うアイリガルのその顔は、

美人なはずなのに獰猛さを隠しきれていなかった


♢♦♢


「到着です、ご武運を」


ゴムボートから崖下の洞窟の入り口におろされて、

ゴムボートが離れていってしまう


「ああ、、もう帰れない、、」


「任務が終わったら、美味い飯と酒奢ってやるからよ」


「そんなんで割にあうのこれ、、

死なないよね?」


「どうだろうな?敵兵に見つかったら拷問されて殺されるんじゃね?」


「こわいよ!」


「大声出すと捕まるぜ?」


「ふが!?」


オレは自分の口を抑える


「いい子だ、ついてきな」


オレはアイリガルの後ろに続き、洞窟の中に踏み入れた


「アイリガルさん」


「ガルでいいぜ」


「ガル?アイリの方じゃなくて?」


「アイリは女っぽいからよ、俺のことはガルって呼べよ」


なんだか少し照れたような素振りを見せる少尉


「はぁ、、わかった、じゃあガル」


「なんだよ」


「ガルは軍人なんだよね?」


「そうだ」


「で、スパイなの?」


「そうだな」


「ガルはさ、、オレのこと、、好きだったりするの?」


もじもじ

キスをされたことを思い出して聞いてみる

オレの初キッスだ

無理やり奪われたけど、こんな美人なら正直まんざらではない

ただし、向こうがちゃんとオレのことを好きならば


「はぁ?

そんなわけあるかよ、この童貞やろーが

テメェは自分の仕事に集中しやがれ」


ガーン!

ひどいセリフだ!

キスしたくせに!

男心を弄んで!許せない!


「ついたぜ、あの扉開けてくれよ」


オレが絶賛傷ついているのに、それを無視をしてガルが親指で扉を指す


その先には、明らかに人工物の鉄の扉があった

鍵穴はない

カードキー式のドアのように見える


「ん~、あのドアは鍵穴ないからムリ~」


「嘘つくな、次嘘ついたら殺す」


銃を握った状態で睨まれる


「はい、、」


オレの能力はバレているようだった


「あ!監視カメラとか!あったら困るよ!」


「隠蔽魔法使ってる、行け」


「はい、、」


オレはとぼとぼと歩き出し、扉に鍵を差し込む

入りたくない、、

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