あまのじゃく
零
第1話
雨が降るよ、と、私が言うと、数分後には雨が降ってくる。
雨が降っているときに、止むよと言えば、少なくとも一時間後には晴れ間が出る。
風の強い日、雪の降る年降らない年、嵐が生まれた気配。
私はそれらを知ることができた。
なくしものをみつけるのが得意で、よく人の失くしたものや落としたものを見つけた。
好きそうなものや、欲しがっていそうなものを当てることが出来て、誰かのプレゼントを選びなんかは外したことがない。
便利といえば便利な特技。
けれど、感謝される反面、気味悪がられているのも知っている。
人間なんて勝手なもの。
利用価値のあるなしが好悪に直結してる。
その上で、特異なものに寄せられるものは良いものでない方が多い。
自分と違うものに嫌悪感を抱くのは嫉妬や羨望が混ざっている。
本人の知らぬまま。
本当に感謝してくれている人。
道具としか見ていない人。
何らかのトリックがあると思っている人。
人の気持ちは千差万別。
それが事実であることも知ってる。
周りの人たちは、私がなぜそういうことが出来るのかを知らない。
そう、私がなにものであるかも。
それどころか、自分がなにものであるかも知らないのかもしれない。
もしかしたら、あなたも。
あまのじゃく 零 @reimitsuki
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