秘密
夏目 漱一郎
第1話 秘密
私はアメリカ合衆国政府直轄の諜報機関(つまりCIA)のエリート諜報員『ジョン マンジーロ』。長年この機関に所属し数々の武勇伝を残してきた。
そして現在はCIA日本支部に所属し、この東京で様々な情報収集をしてそれをNY本部へと送っている。
CIAに『日本支部』なんてあるのか?と疑問に思う者もいるかもしれないが実は存在している。しかし、このことはCIAのトップシークレットのひとつであり公式には発表されてはいない。私の身分は外資系の会社の中間管理職という仮の役職でこの東京にもう5年以上潜入している。もちろん名前も偽名で。
諜報部員にとって、本名やその他のIDは決して外へ漏れてはいけないトップシークレットである。これがもし他国の諜報機関に漏れでもしたら、いっさいの潜入任務における生命の危険度は何倍にも跳ね上がる事になる。
それにしても、さっきから何かおかしい。誰かが私のあとを付いてきているような気がする……いったい誰が?
MI6だろうか、それともKGBか?私は変則的にダッシュし、相手との距離を広げてから物陰に隠れながら相手の確認を行った。
あれは、東洋人……するとC国の秘密警察か?
可能性は十分にある。しかし、相手もあまり尾行には慣れていないようだ。さっきからスキだらけだぞ。
最初、私は無難に尾行をまくつもりでいたが、相手の様子を見て考えが変わった。
あんなおそまつな尾行でこのジョン・マンジーロの諜報行為をしようとは、CIAを舐めるにも程がある。逆にこっちから出ていって驚かせてやろう。
私は再びダッシュして距離をとり、狭い路地に隠れて相手の東洋人が近づいてくるのを待った。
今だ!
「おいお前、私になんの用だ! 誰の命令で動いている!」
物影から急に現れた私の姿を見て、その東洋人は少し驚いたように肩をすくめたが、すぐににっこりと笑ってその手帳を差し出した。
「これ、あなたの身分証ですよね? 落としましたよ」
John Manjiro Agent of CIA
United States of America
「あ・・・・・・・・・・」
おしまい
秘密 夏目 漱一郎 @minoru_3930
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