これが私の秘密

三咲みき

これが私の秘密

 子どもの頃から、ずっと家族に秘密にしていることがあります。それは、小説を書いているということ。


 このエッセイを読みにきてくださった方は、きっとご自身でもなにか執筆されている方が多いでしょう。

 どうですか。家族や知り合いに、あなたが小説を書いていること、話せていますか。

 私は本当に心を許せる友達にしか話せていないです。


 そもそもどうして秘密にしているのかというと、単純に恥ずかしいからです。


 私が小説を書き始めたのは中学生の頃。小学六年生のときに、『ダレン・シャン』に大ハマリし、小説家という生き方に憧れました。

 中学生になり、ノートや原稿用紙に物語を書いてみることにしました。子どもが書くお話ですから、当然穴は多く、表現も稚拙です。自分でもそれはわかっていました。

 書いていることを勇気を出して打ち明けても、「幼稚な内容と未熟な文章のくせに(おまけに字も汚い)、小説家の真似事をしている」、そう思われることが、当時の私は、とても恥ずかしかったのです。実際、そんなことを思うような家族ではありませんが、なかなか勇気が出ませんでした。


 家族に秘密にしたまま大学生になり、媒体もノートからパソコンに変わって、本格的に書き始めるようになりました。


 今となっては、恥ずかしさも和らいできて、家族になら、何かきっかけさえあれば、話せそうです。


 初めて会う人や友達には、まだまだ言えません。そもそも私は、「執筆が趣味」と言う人に、リアルでほとんど出会ったことがないのです。ネットでなら、こうして沢山の人に出会えているわけですが………。

 もしかしたら私と同じように、言わないだけで、書いている人はいるかもしれません。ですが、音楽鑑賞や映画鑑賞と違い、まだまだマイナーな趣味だと思います。


 私個人としては、二次創作にしろ、オリジナルにしろ、物語の創作を趣味にしている人が、リアルで身近に入れば、ぜひその人と語り明かしたいです。小説を書くのっていいものですよね。


 さて、話が少し逸れましたが、家族に秘密にしておくと、何が問題かというと、執筆する時間が限られてしまうことです。

 私はできることならスマホでなく、パソコンで作業をしたいです。でも学生でもないのに長時間キーボードを叩いていたら、一体何をしているのかと思われますよね。一人暮らしであれば、そんなこと気にする必要はありませんが、私は実家暮らしで、当分一人暮らしをする予定はありません。どうしたものでしょう。


 現在は仕事の休憩時間や、休日、家族が部屋にいない時間帯を狙って執筆しています。

 秘密にさえしなければ、堂々と書けるのに。


 先程も述べましたが、きっかけさえあれば、言えそうなんです。一番良いのは、書いた小説が何かの賞に引っかかること。とても現実になりそうにありませんが、これが理想です。


 快適な執筆空間を手に入れるために、色々画策していますが、実行するには、まだまだ時間がかかりそうです。


 「小説を書いてる」、そう一言、言えばいいだけの話なのに、なんでこんなに悩んでるんでしょうね。

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