暴露

みちのあかり

最終話 告白

 その日、全ての宗教者の代表者がローマに集まった。バラバラに分かれていた宗教が、神の名の下に集められたのだ。


 1週間後の12時に、神が降臨する。その時、本当の神と宗教が決定するのだ。


 伝統的な宗教が勝つとも限らない。神が決めることだから。

 金儲けで騙していた教祖たちにとっては、バレてしまえばあとがない。まさに危機一髪。いっそこの場で神に悔い改めるふりをしてやり過ごそう、などと思う者もいるくらいだ。


 宗教家同士の話し合いがスタートした。一週間、自分たちの正しさと正当性を発言する各種団体の代表。その様子は全世界に同時通訳で報道された。

 互いのかみ合わない主張を聞いた全世界の人々は、あまりに身勝手な発言に疑問を覚えた。宗教とは何か、神とは何かを真面目に考え始めたのだ。


 そして神は降臨した。


「この世に地獄はない。地獄に落ちるという教義のある団体は去れ」


 残ったのはわずかな団体。9割以上は偽宗教となった。世界中の信者は動揺していた。


 しかし世界の端、東国の日本ではさしたる動揺はなかった。そんなものかと受け入れるのが早かったのは、一神教が胡散臭いと感じていたためなのだろう。


「あの世に天国も極楽もない。去れ」


 それも日本では受け入れられた。そ~だろうな、くらいの感覚だった。もともと坊主も心から信じていない日本人。

 世界中がパニックに陥っている中、なんとも平和でのほほんとしている日本。株を売れ! いや日本株が上がるぞ! と興味は目の前の株価だけ。


 しかし次の神の言葉で日本中がパニックをおこした。人々は唯一の希望をなくしたのだった。












「異世界もない。トラックにひかれても異世界転生はできないのだ。それが今まで隠していた秘密だ」


 

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暴露 みちのあかり @kuroneko-kanmidou

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