私だけが知っている

白亜タタラ

第1話扉の先

 幾重にも封印が施された、誰の立ち入りも許されざる部屋。

 人呼んで、"開かずの間"

 そんな嘘か実か怪しい部屋が、何を隠そう私の家には存在する。


 数代前の当主が扉に錠をかけ、その上から数種類の結界と認証術式を十重二十重にと重ね掛けした、もはや厳重という言葉ですら生易しく感じるほどの封印されし部屋。


 そんなものが我が家の地下・・に存在する。


 問題は何故ここまで念入りに部屋への立ち入りを拒むのか。

 そして、部屋の中は一体どうなっているのかということ。



 人間、考える事は皆似ており、今代でも当主のやつが数人の魔術師を屋敷に招き入れていた。


 結果から言えば、目論見・・・は失敗に終わったのだが。


 そもそもの話、魔術的封印が万が一解けたとして、その後ろに控える錠をどうやって開けるつもりなのか。


 鍵には精巧な陣を刻んだし、分かりやすく顕界にある物質などを最終プロテクト・・・・・・・として採用するわけもなかろうに。


 はぁ。

 後何代待てば扉は開放されるのやら。





 


 


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

私だけが知っている 白亜タタラ @hakuatatara

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ