ほんとうにあったちょっと怖い話
小山らみ
ほんとにあったちょっと怖い話
子供の頃の出来事。
そのころ、うちでは犬を飼っていて、夕方、犬と散歩するのが楽しみでした。
コースはとくに決まっていなくて、犬といっしょに気ままにいろんな道を行くのです。
ある日、小さな山のすそが住宅地になった、そこの道を平地から上って行きました。道沿いには桜の木が並んでいて、ぷちハイキング気分。
ひとめぐりして山から下りるとき、犬が住宅地の脇にある細い道に入りたがりました。
昔からある山道といったかんじで、私もここから山の中に入れるのかなあとちょっとした探検気分で犬といっしょにその道を入ります。山を登っていく道。
住宅地になっている辺りより少し上の方まで入ったかな、という時、それまで元気に路上のにおいを嗅ぎながら進んでいた犬が、突然フリーズ。
「?」となり、進行方向の正面を見ると。
黒い大きな柱、その上部に取り付けられた黒い大きな鬼の面がこちらを睨んでいる。その柱の手前の地面には、犬の死骸。原形のまま転がる頭部はやはりこちらを向いており、しかし犬の体はなく、ただ毛だけが地面に散らばり広がっている。
こわくなって、あわてて犬と共に道を引き返し、そのまま家に帰りました。
あの住宅地よりひとつ上がった場所に、新興宗教の施設があったのです。知る人ぞ知る、くらいの規模でしょうか。
私が見たものは、そこに関係したものだったのでしょう。
あの細い道は部外者が入ってはいけない所だったのかもしれない。
私はHONKOWAマンガや怪談実話を読むのは大好きなのですが、自分には霊感はないし、リアルでの心霊絡みのことは苦手です。
でも、この思い出は、世の中には本当にああいうことをしている人がいるんだな、と、知った記憶として残っています。
追記:調べてみると、件の新興宗教は今もあり、しかし特にニュースになるような問題は起こしていません。
ほんとうにあったちょっと怖い話 小山らみ @rammie
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