空けないで
釣ール
某月某日より
友人に誘われて部屋に入った。
ここはあるアジア圏内の国で、それ以上の詳細は言えない。
特に何かを話したわけではなかった。
ただ差し出された書物を読んでいただけ。
動画か映画にしてもらった方が退屈がしのげそうだった。
読むと眠くなる。
流石に誘われた身なので悪いと思ったから口に出して音読することで眠気を覚ます。
あれから友人が何の準備をしているのか分からない。
この書物が読み終わるまでは出てきそうもないのならさっさと読み飛ばしてしまおう。
しかしこの書物は退屈なはずなのに読み飛ばすことが出来ず、ひたすら丁寧に読んでしまう。
音読もやめてそのまま眠ってしまったようだった。
気がつくと腕と脚を何かで止められ、友人が目の前で自分を苦しめていた。
縄のような感触があり、それから薬品かハーブの香りが意識を途切らせる。
上半身を脱がされたのか寒気がし、痛みが全身を走る。
これは何だ?
たしか書物にもかかれていたシーンにある拷問なのか?
友人に限って。
はっ!
目を覚ますと腕も脚も動き、呼吸もできる。
まさか友人の家で気絶していたなんて。
見たのは夢?なのか?
友人はそれからも出てこない。
結局文学的な教育をされただけだった。
しかし夢で見たような薬品?ハーブ?
香りを覚えている夢なんて変だ。
辺りを友人がいないうちに探すとそこにはラベルが貼ってある瓶が置いてあった。
その時後ろに気配がしたので振り返ると友人が自分に何かの呪文を唱え、聞いてしまった自分は再び眠りにつくのだった。
瓶は既に空いていた。
まさか?
自分が空けてしまったのか?
いつの間に?
これもあの書物にあった物語の一つ。
小瓶の中身には全てを眠らせる歪みを産む。
空けてしまったら村単位以上の被害が及ぶらしい。
友人はこの小瓶の管理者で一族だったりするのだろうか?
何故自分にこんなことを?
それ以上はもう口に出来ない。
これは夢の中での独り言。
自分の身体はもう友人にどこかへ差し出されてしまったのだから。
空けた記憶が無いのにこんなことになるということは、最初から仕組まれていたのだろう。
一体…何が始まるんだ?
空けないで 釣ール @pixixy1O
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