第6話 秘密(1)
「わあぁぁぁぁ。」
家の中は広く、とにかくゴージャスだった。アニメの世界にでも入ったのかよ!と言わんばかりの造りだ。私は開いた口が塞がらない状態だった。
「春菜様、こちらです。」
私はアシュリーさんに言われるがままついていった。そうすると一つの扉の前でアシュリーさんが立ち止まった。
「こちらで
そう言われ私は恐る恐る扉を開けた。
するとなにやら楽しげな声が聞こえた。
「なるほど、神楽と麻守君の運命の出会いはそこから始まったんだな。」
「ちょっ!お父さん、運命の出会いなんてそんなんじゃないよー!」
「ははは……。」
「お、今日最後のお客さんがいらっしゃったようだ。」
「え…、春菜、なんでここに…?」
遡ること数分前……
「ささ、座りなさいな、麻守君。」
「は、はい。」
俺は
「それにしてもあの神楽がね~、男子を家に連れ込むなんて、ほんとたいしたものだわ。」
天女さんのお母さんが、冗談っぽく、でも本当のような口調でそう言った。
「ちょっとお母さん!からかわないでよ!」
「ごめんなさいね、でもこんな初々しい神楽を見るのが久しぶりで、つい。」
「もー!」
「ふふっ。」
俺はつい、笑ってしまった。
「あっ!麻守君笑ったね?」
「ごめん、なんか楽しそうだったから。」
「んもーー!」
天女さんが顔を膨らませた。こんな表情もするんだな。
(なんか可愛いな、いや、もともと可愛いのか。)
俺はふとそう思った。ほっこりするような、なじむような感じの顔を初めて見たからだ。
「それにしても、あの神楽が名前で呼ぶほど親密になった成り行きを聞かせてほしいな。」
「えっ!?」
俺と天女さんは声が重なった。
「確かに聞いてみたいねー、二人がどうして出会ったのか、を。」
あっ、これだめなやつだ。そう思い、俺は素直に全て話したのであった。
そして現在………
「お兄ちゃゃゃゃん!!」
俺は春菜に思いっきり抱きつかれた。
「ちょっ、春菜、やめなって。人ん家で。」
「…………っっ!!」
何故だろう、天女さんがこっちを睨んでいる気がする、ような…
「ははは、可愛い妹さんではないか。」
「そ、そうですかね。」
どうにかしてこの空気を変えないと、と思っていると、
「お兄ちゃんよがっだぁ、変な家に連れ込まれてたから【ピー】や【ピー】をしでいるのだどぉぉ。」
ちょっ、この妹は人ん家でなんてこと言ってるんだ。やばい、これはやばいぞ。俺はゆっっくり二人の顔を見ると
ニコニコッ
あっ、これ終わったわ。
そして俺は今日二度目の絶望をするのであった。
この世界には女神様がいるらしい。 なっかー @07nakka
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