第5話  デート?(2)

「あっ、麻守まもる君!お待たせ~。」

「そ、そんなに待ってませんよ。」

そこには……天使、いや、女神がいた。実際は女神ではないのだが、天女あまねさんの私服があまりにも可愛すぎて天使という言葉では表せないくらいだった。

天女さんは着くなり俺をじっと見つめていた。

「えっと、天女さん?」

「はっ!ごめん麻守君。えっとね、今日のこれからの予定なんだけど…」

天女さんが何か考えている。


「わ、私の家に来てほしいの!」

「え!?」

一瞬、俺の思考が停止した。だって女の子の家だぞ。昔一回、幼馴染みの家に行ったことがあるだけだぞ?いきなりハードル高すぎないか?

「あ、あのね、詳しくは向こうで話すからさ、お願い!!」

「わ、分かった。」

何やってるんだ、俺!!俺は何故か了承してしまった。

「じゃあついてきて!」

天女さんが俺の手を引っ張る。もうどうにでもなれ!っという気持ちで俺は天音さんの家に向かった。


「わおまじか。」

俺は天女さんの家に着くなり口が開きっぱなしだった。

そこには……アニメやゲームに出て来るような豪邸があった。いくら使ってんだよ!!と思うくらい広く、池や庭まである。俺は異世界にでも来たのか?という気分になった。

ピンポーン

天女さんがインターホンを押すと、、中からメイド?と思われる人が出て来た。現実にもメイドっているんだな、と俺は心の中で思った。


「お帰りなさいませ、神楽様。中でお父様とお母様がお待ちになっております。」

「お出迎えありがとう、アシュリー。」

わあ、名前も異世界みたい。もう、何見ても驚かないや。俺はそう決心した。いや、決心というよりは考えるのを放棄した。その方が絶対楽だ。

「ささ、麻守君、上がって上がって。」

「お、お邪魔します。」

俺は玄関で靴を脱ぎ、メイドさんが用意してくれたこれまた高そうなスリッパに履き替え、二人についていった。

そして、扉の前でメイドさんが止まった。

「この先でお父様とお母様がお待ちしております。どうぞごゆっくり。」

メイドさんは俺たちに一礼したあと、その場を去って行った。


「えっ…と…」

俺があせあせとしていると天女さんが勢いよく扉を開けた。

「ただいま!お父さん、お母さん!」

「あら、お帰りなさい、神楽。」


いきなりすぎるだろ!!もうちょっと心の準備を…

「ほらほら、麻守、君だっけ?あなたもいらっしゃい。」

「は、はい。」

俺はおどおどと中へ入った。


一方その頃……

「お、お兄ちゃん、中に入ってったよ。」

私、時任春菜ときとうはるなは現在進行形でお兄ちゃんである時任麻守ときとうまもると天女神楽を尾行していた、が、お兄ちゃんがよく分からない豪邸の中に入ってしまい、もうこれ以上尾行出来なくなってしまったのだ。だから今は過去形だ。


「これからどうしよう。」

男女が一つ屋根の下だ。絶対天女さんお兄ちゃんとえ、えっ、エッチなことする気だ。それだけは阻止しなければ。そう思うと私の顔が赤くなる。

「お待ちしておりました、時任春菜様。」

「ふぇっ!?」

急に声が聞こえ思わず大声を出してしまった。

「あ、あなたは?」

「私はメイド長のアシュリー・イスタリアと申します。中で天女神楽様のお父様とお母様がお待ちしております。」

「ええっ!?」

もしかして尾行に気付いていたの!?どうしよう、怒られるかな……でも、中に入れるんだ。お兄ちゃんに会えるんだ。なら行くしかないっしょ!

「ぜひ連れて行って下さい!」

「かしこまりました。」

そう言い、アシュリーさんと私は家の中へ入ったのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る