「危機一髪」危機回避が彼の生き残る道。

久遠 れんり

俺は、命がけで生きている。

 あれは小学校のことだった。

 一年生が終わり、春休みになる終業式。


 家に向けて帰っていたが、田舎道。

 道が広がっている途中で、土地の関係なのか、狭いところが所々ある。


 工事用のダンプカーが走り、とても危険で、普段はバスだったが、その日。何故か歩いて帰った。


 歩道もないため、右端を歩く。


 ダンプカーが来たため、少し避ける。

 だが、もう少しで通り過ぎる。そう思った瞬間。


 何故か僕は、一回転をして、道路脇の側溝に座り込んでいた。

 履いていた靴が左足だけ無く、変に痺れて力が入らない。

 すると、左足の靴下、小指からくるぶしあたりまで血が滲んできて、徐々に痛みがやって来る。


 そして、何故か向こうずねで、変に歪んでいる足。


 ダンプカーの運転手さんが、僕の所へやって来る。

 呆然としている僕。


 いきなり抱え上げて、ダンプに乗せると、近くのちょっと大きめの外科まで乗せていく。


 当然警察官に叱られてらしいが、その時全治半年。

 左足の小指から、くるぶしまでぱっくりと裂けていた。


 二十数針縫合し、後頭部も三針縫った。


 その後も、鉄棒から落ちて、背中を打ち息ができなくなって気を失ったり、路線バスに撥ねられて、自転車が犠牲になり手の平をすりむいたり。

 まあまあ、危険なことを回避してきた。


 そして今、一二時間サービス残業をして、少しだけ家へ帰ろうとしたその時。

 点滅信号を、渡り始めると、クラクションとスキール音。

「すわっ。異世界」

 そう言いかけたとき、衝撃を受ける。


 ドンという重い音。


 トラックの前面は、大きくヘコむ。


 だが俺は、それを見ていた。

 誰かが、俺を突き飛ばしてくれたが、その人が撥ねられた。


 だがむくっと起き上がり、此方を見て、ニコッと笑う。


「あらーん。だいじょうぶぅ?」

「ええ。ありがとうございます」

「良いのよ。下心もあるし。独身?」


 そういう彼は、身長二メートル近い筋肉隆々のおっさんだが、くねくねと近寄ってくる。


 つい治療費として、彼に一万円を渡し。


 俺は逃げてしまった。


 俺…… 悪くないよね。



———————————-

最後以外、実は実体験です。

まだ、右手の火傷や色々とある。

よく、この年まで、生きて来られたものだと、感謝しています。

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「危機一髪」危機回避が彼の生き残る道。 久遠 れんり @recmiya

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