黒い闇を暴くには

それから数日、しばらく動けない時間が長く続いた。一応半分がアンデッドなのでい縫い目がいきなり離れるとかあった。



更に三日後――――。



俺は身体を起こせる程になっていた。

特に問題なく博士のメディカルチェックを終えて、普通に歩いたりしてもいいよっと言われた。



それから専門用語を呪文唱える様に博士から聞いてから話題はようやく、俺の愛しき付き人少女アンデッドのフルネームを博士から教えられた。



本名は夢乃蘭菜ゆめのらな。こう見えて年齢は十三歳という若さである、それで大人気Vチューバーである。


それで"Vチューバー"とはなんなのかを知らない人向けに言うと。バーチャルユーチューバーを略した名前で仮想アバターで色々実況やトーク、たまにアイドルとして歌ったりする多様性がある職業である。



その中で人気だったのが"ラナ"で、その中身が今この目の前にいる人物である――――。




「あ? あーあー」

「それ砂なの」

「あぁ?」

「コーヒーはあの棚にあるの」



自我はあるけど、知性はゼロである。



「あーあーあぁ」

「熱くて溶けるからヤダ? わがまま言わないで欲しいの。こうしなきゃ君は戻らないの」

「あ、あ、あ、あ、あ」



ラナは包丁を手に持ち自分の手を刺そうとしていた。アンデッドだって気持ちはあるんだって言ってる気がする。



「そんな事したらまた縫い直さなきゃならないの! 慣れるしかないの!」

「あぁぁぁぁぁぁぁ!!」



ラナは暴れ回るのを見兼ねた右手はこう博士にこういった。



「博士、あの子暴れ回れながら泣き目よ?」

「博士だって泣きたいの! 来希、ラナをなだめるの」



いや、あんなパワフルな子を宥めるって無理じゃないか!? っと内心で思いつつも一応訊たずねる。




「なだめるってどうやって?」

「これだから童貞は」

「童貞は関係ないだろ!?」

「頭撫でればいいの―」



言われて見たどおりに、ラナの頭を左手で撫でた。キョトンとした眼差しと上目遣い、ある意味可愛さを感じた。



「あ、あーあ」



あちらこちらにラナは頭をぶつけながら部屋を退室した。



「来希、愛を込めて撫でるの」

「いじけちゃったね」

「え」

「もう少し優しく撫でないと女の子は気持ちよくないわよ」

「うんうん」

「俺に味方はいないのかこれ」

「覚えるしかないの」

「乙女心わかんないなぁ…」



理不尽だった、女の子ってよく分からない。

因みにこの博士は年齢八歳らしい。

小二で化学を極めるとは。もしかしたら天才博学者ギフテッドとか。



んでギフテッドとは、知識が年齢以上の能力を保有する人を意味する。

そんな書かれた書類を机の上にに置くなよなぁ。嫌でも目に止まるじゃんか。





けどさ、年齢は幼いから寂しくないのかな?



突然ドアが開く、ぬいぐるみを抱いて博士は俺のベッドまでテクテク歩き。



「寂しいの、一緒に寝て欲しいの」



ふ、ロリからのお願いに断るわけがない。


「いいぞ」

「ありがとう」


博士はベットに入るなり抱き枕にされてしまった。あぁ、この年齢の子は純粋で穢れてなくて可愛い。


「ちょっと、なんで博士いるのよ」

「いいだろ別に」

「良くないわよ、見てあの眩い寝顔! 私、溶かされるわ」

「いいじゃないか、右手よりは」

「ぬぐぐぐ!! 私、あんたの名前知らないから叫べないわ!!」

「来希だ」

「女の子みたいな名前!? 」

「うるさいの右手!」

「あへっ!?」


反対側に反る様に右手を引っ張る博士、残念ながら痛感がなくて痛くない。

なるほど、これが別の手っていう奴か。



そのまま、翌朝を迎えたわけだが―――。



ドォン!! ドンドン!!



目覚まし音にしてはかなり物騒な騒音だった。どうゆう理屈か博士は消えていた。

何処へいったのか? っと思ってるとバン! っと扉く音が鳴り響いた。



武装した自衛隊が数人が突入してきて視界に止まる。いきなり銃口を向けて強めの口調で言い放った。



「手を上げろ! 博士は何処だ!」



俺は言われたまま手を上げて答える。



「博士は知らないな。つーかさ、他人の家に武装してくる自衛隊さん達よ。目覚ましにしちゃ少しハードモードじゃないか?」



俺の態度が気に入らなかったのか。

自衛隊一人が一発天井に発砲、怒声を荒らげてこう言い放つ。



「その博士がいれば、こんな悲しみを味わう必要なんてなかったんだ!! さぁ、差し出せよ! 死にたくないなら今すぐに博士を出せよ!!」



どうやら冷静さを失っているようだ、すると右手はゴソゴソと動く、ちょうど股間あたり。そんなことしてる場合かよ?! っと内心突っ込む。



「さぁ! 早く!!」



自衛隊が近寄る最中で右手は何かを掴んだ。

それを引き抜き右手は勝手に腕を動かして掴んだ物を見せる。



「―――――!?」



白い拳銃だった、意図を探られる前に自衛隊に向かって発砲し始めた。

自衛隊達は次々と倒れた、残されたのは冷静さを失った隊員だけとなる。




「う、うぁぁぁぁぁぁぁ―――――!!!」




パァン。




倒れた自衛隊を見て俺は気が動転の最中で。右手は、こう冷静な口調で言った。



「どっちがアンデッドよ? 博士を利用して国家機密と称して、沢山のアンデッドを作る狂気な実験をしていたのは何処のどいつがその口を叩くのよ」



何を言ってるのか、俺は理解できなかった。

意識が少しだけある自衛隊が苦し紛れながら言を発した。



「貴様……っ! 冷酷の狙撃か。なぜ生きてる、何故……庇う博士を」



右手は呆れて深いため息を吐いてこういった。



「私を出し抜く為に、疑い深い私を先に殺した。計画に支障が出る前にね。それからそんな日が経つ前に博士がアンデッドウイルスを作らせた。…これ以上あの子に近づけさせないわよ」



右手がそう言って引き金を無情にも引いた。



俺は言葉が出なかった、博士は利用されてアンデッドウイルスを作らせられたのだ。

更に博士を利用として、憶測に過ぎないが最新兵器のアンデッドを作ろうと目論む奴がいる。



「そんなの、非常識にも程があるだろうが…!」



博士が再び捕まったら地獄しかない、こんな幼い子を――――――俺はこの世界を初めて恨んだ。




「君がみていた世界はどう映ったかは知らない。けどこれが現実よ」

「ただ、馬鹿でもわかる。こんなのは許せるもんじゃない。博士を守って、闇を暴こう」

「そうゆうと思ったわ」

「え?」



右手は拳銃をポケットにしまい、静かにこういった。



「博士が君の体に私を付けた理由、その正義感が選んだんだろうねって訳よ」

「一心同体でバディみたいなもんだろこれ」

「そうとも言うわ、まぁ頑張りましょ」



この日、俺は密かに博士を守る為に百のやりたい事をノートに描く様に書いた。



「来希」

「ん?」

「これ預かってて欲しいの」


博士からも手渡された一冊のノート、中を見ると百のやりたい事リストである。



「博士これは?」

「この世界を変えるにはみんなの力が必要なの―――――共存は私の願いなの」

























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アンデッド無双な件―能力の目覚めで暗躍する奴らを蹴散らす― 速水すい @zerosekai

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