二人には救われて欲しくもあり、しかし一緒にどこまでも堕ちていって欲しくもある。後ろ暗い相互依存が泥沼のように読者を引きずり込む、蠱惑的な百合小説でした。
家庭内DVを受け、スクールカウンセリングへ通う少女と、彼女に寄り添う主人公の少女。可哀想な境遇の少女にも、主人公の言動、心情にもひどく共感出来ます。身近にありそうな話だからこそ、読むべき価値を大いに見いだせる作品だと思いました。是非、読んでみてください!
僕は教室の黒板だ。下校時刻を過ぎてもここにいる彼女たちを、僕はよく知っている。その境遇も、その想いも。その上で思う。見せかけだけでもいいじゃないか。今そこに二人でいる事がほんの泡沫であっても、足りてない互いの生が慰められるのなら。前を向く力に繋がるのなら。