政権交代?しようよ♡絶対!

一ノ井 亜蛮

第1話

 【消費税廃止】を愚直に訴え続けてきた、れいわ新党が政権与党の座に就いたのは、2.026年11月の事である。

 当時、その政党の党首だった山木光太郎が総理大臣就任後、真っ先に実行したのは他でもない【消費税廃止】だ。


 《消費税》は、諸外国では《付加価値税》とも呼ばれている税制で、日本では

1.989年に、当時3%の税率で導入された。

 以降、1.997年に5%に、2.014年に8%に、そして2.019年に現在の10%へと引き上げられてきた。

 その背景には、社会保障への充実がうたわれている。


 しかし、度重なる消費税率の引き上げにもかかわらず、2.024年現在も社会保障の切り下げは留まるところを知らないままなのだ。

 その要因として挙げられるのが、消費税率が上がるたびに下げられてきた法人税率である。

 そのため、引き上げられた消費税率分が相殺されてしまうのだ。

 そして社会保障の充実をうたいながら消費税率を引き上げたにもかかわらず、社会保険料や年金徴収額の値上げは今も続いている。

 さらには年金支給年齢の引き上げなどで、老後への不安は増すばかりであった。


 そんな状況下にもかかわらず、2.024年時点での与党である国民主権党はさらなる増税策を打ち出してきたのだ。

 これには、普段は大人しい日本の国民もさすがに堪忍袋の緒が切れ「何が国民主権党だよ!看板に偽りしかないじゃないか」という不満が噴出した事で、2.026年10月末に行われた選挙での投票率が76.28%を超えた事により、与党であった国民主権党が議席数を2.024年現在の3分の1に減らした事で、野党転落が確実となったのだ。

 そして、その選挙で立候補者を大幅に増員したれいわ新党が単独過半数をぎりぎり超える議席を獲得し、政権交代を成し遂げたのだ。


 そして山木光太郎が【消費税廃止】と並行して行ったのが、所得制限を設けない、国民全員に対する一律10万円の給付金だ。

 これは、一度きりの給付措置ではなく、給付開始時は2か月に一度の頻度で、その後は様子を見ながらではあるが、山木光太郎はこれをディマンドプルインフレによるインフレ率が2%に達するまで実施を継続させた。

 【消費税廃止】が実施されて、まず最初に起こった現象が、国民の購買意欲の向上である。

 それは一律10万円の給付金の効果と相まって、あっという間にその事が実感出来るほどであった。

 もちろん、将来への不安を払拭し切れず、給付金を貯蓄に回す人もいたが、それでも使えるお金が増えた事で、そういう人でも年間の消費金額は確実に増えていた。


 この事により、食料品などの生活必需品を中心に、需要が供給量を上回るようになったため、生産体制を強化すべく、企業による雇用の強化が過熱し始めた。

 それにより、良い人材が流出するのを防ごうと、賃上げの動きも出始めた。

 また一方では、優秀な人材を確保すべく、賃上げの動きはさらに過熱していった。

 賃上げの動きとともに、ディマンドプルインフレの動きは恒常化されて、緩やかなインフレスパイラルが形成されて行った。


 れいわ新党は、国民主権党が行ってきた社会保障の切り下げ政策についても改正を行っていったが、その内容については、この物語の中では割愛させて頂きます。


 しかし、そんなれいわ新党ではありますが、政権の座に就くまでの道のりは、決して順風満帆であったわけではないのです。

 元はタレントで俳優だった、現代表で総理大臣の山木光太郎は、俳優時代に日本の政治に危機感を抱き、俳優を辞めて政治家に転身したのだが、当初は《今は独りの新党》という名前の通り、たった一人の政党からのスタートだった。

 後に国政政党の代表に見い出され、その政党に入党し、共同代表を務めたりもしたが、やがて方向性の不一致などから離党をする事となる。

 すでに政界入りを決意していたであろうと思われる時期の、俳優時代の山木光太郎が出演した、原発事故を題材にした映画では、今も続く山木光太郎が政治家として日々国民に訴え続けている政策の原点になると思われる一面が見事に描かれていると感じるのは、単に著者の思い違いだけで片付けられる話ではないように思う。

 山木光太郎は、れいわ新党の立ち上げ当初は国政政党に身を寄せていたが、ここではその事実だけを載せるに留めさせて頂きます。


 れいわ新党は、結党当初から【消費税廃止】を訴え続けてきたのだが、それと同時に、障害者が差別をされない社会作りも訴えてきた。

 その表れとして、結党して最初の選挙で、山木光太郎は代表者であるにもかかわらず、比例代表制での自分の順位を3番目にして、障害を持つ候補者の順位を1番と2番にしたのだ。

 これは、当事者の事は当事者が一番分かる事。

 政策などを訴えるにしても、当事者が訴える事が一番望ましいという山木光太郎の考えが反映されての事であろう。


 れいわ新党の結党当初は、テレビや新聞に黙殺されており、当時の認知度はかなり低かった。

 そんなれいわ新党代表の山木光太郎は、政策理念が一致すれば他党の候補者でも、れいわ新党の候補者がいない選挙区であれば応援演説に駆け付けてしまうという活動がSNSなどを中心に話題となり、徐々に《れいわ新党》山木光太郎の名前は世間に知られるようになっていったのだ。

 2.019年の政見放送で「死にたくなる社会から、生きていたくなる社会へ」と訴えた山木光太郎が目指す社会は《生活に行き詰まって、政治に絶望しながら自殺してしまう国民を一人も出さない国造り》だ。

 現状を変えたくない勢力から疎まれ、度重なる山木光太郎潰しに遭いながらも、愚直に【消費税廃止】を訴え続けた山木光太郎は、2.026年11月に、志を同じくする他の野党議員の協力を得ながら、政権交代を実現するに至ったのだ。


 政権交代前、俗に言われていた社会保障費などの【財源】については、賛否両論ありながらも、国債発行で賄った。

 また【消費税廃止】による税収減については、法人税制を消費税導入前の税制度に戻す事によって補った。

 「税はあるところから取れ、ないところから取るな」

 これは、山木光太郎が口癖のように街宣で言っていた言葉の一つである。

 さて、国民主権党が政権与党だった時代には「法人税を上げると企業が海外に流出する」という話がまことしやかに囁かれていたのだが、法人税制改正後もそうはならなかった。

 法人税制改正後に、幾つかの法人が海外に進出したが、それは法人税制の見直しが影響を及ぼしたのではなく、海外に進出する事で経営の拡大を図ったためである。

 多くの企業は、日本でのシェアを魅力とし、日本での事業を継続する事を選んだのだ。


 国民が老後の生活に至るまで、不安を抱かず生きていけるようになるまで、れいわ新党は約10年の歳月を費やしたが、失われた30年以上の歳月を思えば、日本の経済が軌道に乗るまでの10年はあっという間であったと言えるのではないだろうか?

 日本の経済が上向きになり、もう大丈夫であろうと思われるようになったところで、党代表の山木光太郎は還暦を迎えるその年に、総理大臣の任期満了を以って議員辞職すると発表した。

 山木光太郎の発表に、多くの国民が続投を熱望したが、次の世代へバトンを渡すべく、山木光太郎はあっさりと身を引いた。

 この事により、政権交代が起こった2.026年に初当選を果たし、完全に政治家へと転身した八畑愛子が以降の実績を認められ、次期代表に選出された事で、日本初の女性総理大臣が誕生する事となった。


 *この物語はフィクションです。

 物語に登場する個人の名前、団体の名称、地名などは全て架空のものであり、実在の個人、団体、地名などとは一切関係のないものです。



      【あとがき】

 最後まで作品をお読みいただきありがとうございました。

本作品は、あとがきこそが著者の言いたかった話ですので、もう少しお付き合いをいただき、あとがきも最後までお読みくださると幸せに思います。


 これはごく近い未来のお話しなので、もちろん《そうなったらいいな》という著者の願望がふんだんに盛り込まれたお話しですが、こんな未来が《選挙に行って投票をする》そんな簡単な事で実現するとしたら、とても素敵な事ではありませんか?


 家事に追われている主婦や主夫のみなさん。

 毎日お疲れ様です。

 ほんのちょっと、買い物ついでに投票所に寄り道。

 たった5分で投票完了。

 それでいつものお買い物が毎日1割引きと同じになったら?

 バーゲン品のチラシとにらめっこをして、何件ものスーパーをハシゴしなくても済むようになるかもしれませんよね。


 毎日忙しく働かれている、土日も仕事なんだよね……。

 そんなみなさん方には、期日前投票という方法がありますよ。

 お散歩がてらでも構いません。

 ほんのちょっとの時間で投票は済みます。


 これで使えるお金が増えるのだとしたら?

 【消費税廃止】になれば、年収200万円の人では年間20万円も使えるお金が増えるのですよ。

 もしかしたら、それがお父さんのお小遣いにも反映される日が、くるかもしれないし、こないかもしれないかどうかは……あなたの家庭次第ですが。

 こりゃあ選挙に参加しなくちゃ損ですよ。

 誰のためでもありません。

 何よりあなた自身のためなのですから。


 『自分一人くらいが投票に行っても何も変わらない』のではないのです。

 【投票に行っても何も変わらない】そう思わされてしまっている人達が大多数になってしまった結果が何も変わらない今の社会を生んでいるのです。


 私達にはまだ選挙権があります。

 憲法改悪による緊急事態条項の新設で、それすら奪われてしまう前に、選挙に行きましょう。

 あなたの生活を守るのは、他のなにものでもない、あなたの1票なのですから。


 今般話題に上っている【裏金問題】については、派閥が金と政治の問題を引き起こしているとして【派閥の解散】という流れで幕引きを図ろうとしてますが、これは単なる論点ずらしであって、《資金の流れを透明化する》事を徹底すれば簡単に解決し、それを続ける事で国民への信頼も回復するのだと思います。

 そういった行動を見る限り、自民党が大切にしているのは国民への信頼ではなく、金なのだという結論に至ってしまいます。


 また、『野党がだらしない』とか『野党は頼りない』という話を耳にしますが、ならば現状をかんがみて『与党は頼りになる』と考えられますか?

 あなたの生活は、私達国民の生活は豊かになってますか?

 何かの災害が発生して、国民が困ったとき、政府は真っ先に国民の安全と安心を守ってくれていると考えられますか?

 前回政権交代が起こった時の事を《悪夢の民主党政権》と揶揄する人がいますが、自民党政権の今でもその悪夢は続いたままなんじゃないですか?

 いえ、現状を考えれば、悪夢はさらに加速していて、逃げ場もなく、より酷くなっているとしか思えません。

 現在の政府が大成功を収めた政策は《悪夢の民主党政権》という言葉を盾に、文句を言いながらもどんな重税にも我慢をする従順な国民性を作り上げた事だけだと感じるのは著者だけでしょうか?

 納税をするために生かされているなんて思いたくはないですが、そんな状況なんじゃないかなぁと感じざるを得ません。

 

 著者はかつての民主党政権をみて『野党は頼りない』と思いません。

 東関東大震災の時、何を差し置いても民主党の議員は真っ先に被災地に駆け付けて、被災者の気持ちに寄り添おうとしたのを記憶しています。

 それは『枝野眠れ』というハッシュタグが出来るほど、被災地のために粉骨砕身働いていた事がみんなの目にも明らかだったからではないですか?

 今の自民党にそんな人いますか?

 経験値の無さから、被災地の方々に疎まれてしまっていたという話も聞きますが、横柄な言い方になるかもしれませんが、それは私達国民が国会議員を育てる気持ちになれば良い事だと考えます。


 今ある野党を見て頼りないという理由で選挙を棄権してしまっている皆さんには是非れいわ新選組という政党を知って欲しいと思います。


 《#私はれいわ新選組に投票します》

 《#私はれいわ新選組の立候補者に投票します》

 《#れいわ新選組は》


 この物語を読んで『何気ない日常という幸せ』を奪われ続ける生活から脱却するため、あなたが『今度の選挙には必ず行こう』と思ってくれたのなら、私は果報者です。

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