秘密戦隊シークレンジャー、出撃!

大黒天半太

秘密の……

「それは秘密だ」

 何を訊いても、上役達の返答はほとんどそれだった。


 なぜなのか、どころか、どこからどこまでが秘密で、どこからが秘密でないのかも示されないので、そもそも何を、誰に対して、秘密にする必要があってそうしているのか、それさえ秘密にされるのでは、意味がわからない。


 しかし、共有されるべき情報無しには、何を達成すべきなのか、そのためにどれだけの労力なら辞さずに敢行するのか、或いはどれだけの労力なり資力なりがかかって引き合わないから断念するのか、判断基準が共有できない。


 むしろ、情報共有すべき他の部隊がいくつあり、全体の命令系統の中での自分と自分の部隊の位置付けがわからないのでは、動きようが無い。


 下手な行動は、味方の邪魔になり、全体の隙になり、自分の部隊の持ち味を殺してしまう。何より、預かっている部隊の部下達の命に関わる。


 選び抜かれた七人の隊員に、特別な任務のための特殊装備一式を与え、使いこなすための異例の訓練~特訓も施し、ほとんど有り得ないと思われる事態まで想定しての対応もすんなり体が反応するようになった。


 更に、その中から五人を選抜し、秘密の戦隊を組み上げる。


 残る二人に予備要員から三人を加え、同一の特殊装備・同一の特別任務のこなせるバックアップの戦隊を構築するのに、更に三ヶ月の時間をかけた。


 秘密シークレットに運用される特殊(奇襲)戦隊レンジャーの誕生の瞬間であった。


「秘密戦隊シークレンジャー、出撃せよ!!」

「ラジャー!」

「ラジャー!!」

「ラジャー♪」

「ラジャー🖤」

「ラジャー……」


 うん、秘密部隊の指揮官も悪くない……全員、無事に帰還するように祈ってる。

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秘密戦隊シークレンジャー、出撃! 大黒天半太 @count_otacken

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