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春になると花は一枚の手紙を見つけた。
お母さんの書いたずっと昔の手紙を見つけたのだ。微笑ましい手紙。それはお母さんが今の花と同い年くらいのときに書いた手紙だった。そこにはお父さんとの出会いが書いてあった。お父さんに向けてお母さんが書いた恋文だった。(恥ずかしくて最後まで読むことができなかった)そこには花の知らないお母さんがいた。
校庭のあちこちに植えられている桜の木が満開の花を咲かせている。とても綺麗だ。本当に綺麗。まるで世界が桜色に彩られたようだった。
その日、花は欅女学校の初等部の女の子と出会った。名前も知らない女の子。その子は泣いていた。だから大丈夫? って声をかけたのだ。心配だったから。まるで昔の私のようだったから。
花はその女の子と友達になった。
さよならをするときに、花はいたずらを思いついて、手招きしてその女の子を自分のところに呼んだ。
「私ね、実は魔法が使えるの」
と小さな女の子の耳元で花は言った。
すると女の子は驚いてその大きくて綺麗な目を丸くした。
花の魔法 終わり
花の魔法(旧) 雨世界 @amesekai
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