水曜日は別人
saito sekai
危ない主婦の物語
近所を散歩していたら、自転車に乗っている隣の奥さんに遭遇した。目と目が合い「こんにちは」と挨拶した。
買い物かなぁ…でももうじき雨が降る予報なんだけど。
それから二時間後、その人はずぶ濡れになって帰宅。私は窓越しに「大丈夫ですか?風邪引かないで下さいね」と声をかけた所、「これしきこと、何にも気にならないわ」と言って笑っている。
実は私はこの奥さんの旦那と不倫しているのだ。いつかバレる、その冷や冷や感が返ってスリルになり、沼に足を取られている状態だ。
ある日のことだ。「今女房は買い物だから、昼間から会おうよ」と彼が言うので、大胆にも、隣の家でつかの間の情事。するとその最中、なんと奥さんが帰って来たのだった!
青くなり、震えている私たちに奥さんが一言。
「不倫していたのね。別に気にしないわ」等と言って笑っている。それに加え「晩御飯でも食べてゆきなさい」と迄。私は恐ろしくなったが、言うことを聞いたほうが良いと判断し、ご相伴にあずかることにした。まさに危機一髪。不思議な奥さんのおおらかさに救われた?私たちだった。
ただ、こうなってくるともう怖いものなし。私たちは、頻繁に逢瀬を重ねだしだのだった。そしてある日、もう二人は結婚しようと決め、明日奥さんとの話し合いをする事になった。
その日は水曜日。奥さんはPCの講師をしているので、帰宅を待ち、全てを打ち明けよう。大丈夫、気にも止めないだろう…
…数時間後私たちは、病院のベッドにいる。奥さんは警察に捕まった。話している最中に奥さんは包丁を持ち出して私たちに切り付けてきたのだ。後は必死に逃げて…それからの記憶は一切ない。
私たちの体調が落ち着いた頃、病院のベッドに刑事がやって来て、奥さんの聴取を伝えて来た。
「いやぁ、何でも水曜日のPC教室のストレスか凄かった様で…日頃のおおらかさをすっかり忘れたと言っています」
唖然としている私たちに、刑事は更にこう伝えるのであった。
「奥さん、PC教室から解放されるなら、刑務所のほうが100倍ましと言って今鼻歌なんか歌っていますよ」完
水曜日は別人 saito sekai @saitosekai
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