#0000FFを識る

和立 初月

第1話

 その日、SNS上でこんな投稿が流れてきた。

「この度、長年不確定だった『例の色』につきまして、皆様からのアイディアを募集させていただこうと思います。詳細につきましては、後日改めて投稿させていただきます。皆様のご応募お待ちしております」


 翌日。

「ねー昨日の見た?」

「色彩策定委員会のやつ?」

「それ! ねぇ、参加してみない?」

 現代においては運命共同体といっても過言ではないSNS上での不思議な投稿。常に目新しさを追求する現代の若者にとって、その話題は見事にトレンド入りを果たし、教室内は活気に溢れていた。

「ねぇ、瑠璃。私たちも参加してみようよ」

 そう声を掛けられながら、ボールペンで二の腕をつんつんと小突かれた小川瑠璃は、窓際の最後方、誰もがうらやむ絶対的ポジションに収まって、朝練に励む生徒達をぼんやりと眺めていた。

「聞いてる?」

「聞いてるよ。今、ちょうど考えてたところ」

 そう言って、人差し指を窓から突き出して、瑠璃は空を指差した。

「空色……じゃあ、ありきたりだしなぁ……」

 瑠璃の指の先、澄み渡る空を二人して眺めていると、不意に教室前方の扉が開かれ、担任教師が入ってきた。

「ほら、授業始めるぞ。席に着けー」


 世間的には珍しく、この学校では屋上が解放されている。勿論、転落防止の為の高い柵が設置されていたり、開放は昼食時のみに限定し、屋上で遊ぶことも禁止されている。

 なので、昼休みの屋上は友人とのんびりと昼食を共にしたり、おしゃべりに興じることができる共有スペースとして、生徒達に人気のスポットとなっていた。その一角で。

「空……空色……」

 ぼんやりと空を見上げ、雲を掴むように箸を中空で躍らせながら、瑠璃はぽつりとつぶやいた。さながら指揮者のように左右に箸を振るその様子を隣で見ていた内田香織は哀れみを込めた目で見つめていた。

「瑠璃、大丈夫?」

「え? 全然大丈夫だけど」

「そう。なら良いけど……」

 指揮者として満足いく出来だったのかは定かではないものの、香織の一言で瑠璃は箸を下ろし、昼休みに友人と昼食を楽しむ一女子高生へと戻るのだった。

「休み時間に『例の色』について、調べてみたんだけど。ちょっとこれ見てくれる?」

 香織が見せてきたスマートフォンの画面に表示されていたのは、道路標識の一覧を掲載しているサイトだった。

「駐車場とか速度制限とかの背景の色か。でも、『道路標識色』じゃ用途が限定されすぎている感じが否めないしなぁ……」

「灰色をねずみ色って言ったりするみたいに、動物からもじるのはどうかな?」

 それを聞いた瑠璃は、スマートフォンで記憶を頼りに検索をかけた。『例の色』に該当する動物。近しい色である、水色や紺色等も候補に入れて検索すること数分。

「あ、いた。カワセミ。……と思ったけど、カワセミ色じゃあちょっとねぇ……」

 いつしか弁当を食べることも忘れ、二人はしばらく議論を交わし、昼休み終了十分前のチャイムによって我に返ることとなった。

 急いで掻っ込んだ弁当箱の底が、太陽光を浴びてキラキラと輝いていた。


 その夜、予告通りSNS上に例の色についての募集要項が記載された文面が投稿された。

「例の色の名前と、その名前に決めた理由を明記の上、ご応募ください。締め切りは年内とし、厳正なる審査の上、来年三月頃に正式な色の名前を決定します。その他詳細は当委員会公式HPに記載しております。

 なお、今回のコンテスト開催にあたりまして、褒賞金等の副賞は発生しないものといたします」


 翌日。頭の中でぼんやりと色の名前の候補を浮かべては、消しながら。早速、香織に相談しようと教室のドアを開けると。

 昨日は各グループで白熱していた例の色の議論はどこ吹く風。話題は昨日のドラマの感想や芸能人のスキャンダルで持ち切りだった。

 急転直下の冷め具合に、瑠璃は訝しみながらも自分の席へと歩みを進めた。すると着席するなり、隣のグループの輪に入っていた香織がするりと抜け出して、瑠璃の肩をがしっと掴み、爛々と目を輝かせてきた。

「見た、昨日のニュース!? 私も怪しいと思ってたんだよね……」

 何の前置きもなく、いきなり話題を切り込んできた香織に、ふと昨日の芸能ニュースを思い出した瑠璃は返す刀でこう答えた。

「あぁ、あれね」

「えっ。それだけ……」

 鍔迫り合いが起きることもなく、根本からぽっきりと折れてしまった香織は、がっくりと肩を落とし、力なく隣の椅子に腰かけた。

「私、何かまずいこと言った?」

「瑠璃のことだからもっと食いついてくると思ったんだけどなぁ」

「確かに、気にはなるけどさ。それよりも。今はあっちに集中しなきゃだから」

 今度は、香織が頭の上に「?」を浮かべる番だった。

「『例の色』の名前を決めるコンテスト、詳細が発表されたじゃん。何か良い名前、考えてきた?」

「あー……そんなのもあったねぇ」

「あったねぇって。昨日はあんなに乗り気だったのに」

 香織は答えを知るなり、瑠璃越しに外の景色をぼんやりと眺めていた。心ここにあらずな友人の、心変わりの原因を瑠璃は必死に考えた。

 昨日の今日で何かがあったのは間違いない。昨日あれだけ乗り気だった香織が、まるで昨日の自分を見ているようだ。つまり、昨日の放課後、香織と別れてから今朝に至るまでの間に何かがあった。

 共通項……今の瑠璃と香織の間にある共通項。『例の色』を決めるコンテスト。一緒に応募しようと手を組んだ。今日、お互いの候補を見せ合おうと約束した。が、今日彼女がいの一番に振ってきた話題は……。

「そういうことか」

「え、何が?」

「分かったよ。何で香織がコンテストに興味をなくしたのか」

 名探偵さながらに、かけてもいない眼鏡を持ち上げる動作をして、香織の両頬を両手でサンドして無理やり自分の方を向かせて、瑠璃は真相を突き付けた。

 おそらくそれは、コンテストに対する熱がクラス中で一気に冷めた原因と同じだと思いながら。

「賞金が出ないなら、やる意味がない。とか思ったんでしょ」

「ばれた?」

「むしろ、ばれないと思った? どれだけ長い付き合いだと思ってるのよ」

 香織は舌をペロッと出して、可愛くウインクなどして見せるが、ふらふらと上下に揺れながら飛んでいくハートマークは瑠璃に届くことはなく、あえなく窓の外に墜落していった。


「これからどうする? カラオケでもいく?」

 帰り支度をしていると、先に準備を終えた香織が食い気味に迫ってきた。

「んー……今日はやめとこうかな。ちょっと用事あるんだよね」

「ほほぅ」

 これは何かあるとアンテナが反応したのか、香織はさらに身を乗り出して瑠璃に詰め寄った。

「大したことじゃないから。……って近い近い」

 そんな押し問答をしばらく続けていると。

「なぁ、ちょっと良いか」

 二人の手がぴたりと止まる。その声に振り向けば、そこには同じクラスの浅葱雄介が立っていた。

「何かね? 浅葱君。私は今、瑠璃と放課後遊ぶ約束を取り付けるので忙しいのだよ」

「だから行かないって」

 そんなそんな二人の返答は軽く流し、浅葱は瑠璃をまっすぐに見据えていた。間に挟まれた香織は瑠璃と浅葱を交互に見ながら、大人しく二人の間からフェードアウトしていくのだった。

「できれば二人とも一緒に来てほしい」

 足早に教室を出ていこうとする香織に浅葱は声をかける。香織は混乱し、困惑しながらも再びこちらに向かってきた。

「あのねぇ、浅葱。二股は感心せんよ、二股は」

 浅葱はその肩をぺしぺしと叩きながら、窘める香織の手を払いのけて。

「違う。お前ら二人とも、コンテストに応募するつもりなんだろ?」

 その言葉には、ようやく本題を切り出すことができたという安堵が込められていた。


「適当に座ってくれ」

 浅葱に案内されるまま、二人は美術室へとやってきた。

 机と椅子は後方へ避けられ、部員の人数分だけの椅子が中央のテーブルを取り囲むように配置されている。それぞれの椅子の前には、大きなキャンバスが置かれ、今は一つを除いて布がかけられていた。

「単刀直入に言う。俺もコンテストに参加する。俺は自分が考えた色の名前が採用されて、今後その名前で呼ばれ続けることに意味があると思っている。こんなに名誉なことがあるか。いや、ない。

 そこで、だ。できれば、俺と一緒に名前を考えてほしい」

「それは分かったけど……一緒にやるかどうかは置いておいて。なぜ美術室に連れてこられたのかを説明してもらっても良い?」

 瑠璃の疑問に対し、浅葱は中央のテーブルに置いてあるりんごを一つ手に取ると、二人の目の前に差し出した。

「このりんご、何色に見える?」

 あまりにも唐突な問題に瑠璃と香織は目を合わせて、軽く頷き合ってから当たり前のように口を揃えてこう答えた。

「赤色」

「じゃあ、これは?」

 そう言って、浅葱はりんごを掌に載せたまま、もう片方の手でくるりと半回転させた。当然、今まで見えていなかったりんごの裏側は。

「……」

「これは……」

 その色を見た瞬間、瑠璃も香織も即答することができなかった。どこか違和感がある。色自体は見慣れたものなのに、感じる不自然さ。自然に溶け込んでいる不自然の正体が分からない。

「……緑色のりんごだよ」

 瑠璃は沈黙したままではどこか気まずいと、必死に絞り出した答えを口にした。浅葱はそれを聞いても顔色一つ変えずに平坦な口調で「まぁ……そうなるよな」と言った。

「じゃあさっき二人とも一瞬答えに窮したのはなぜだ? なぜ『緑色』と即答できなかったんだ?」

「それは……」

「なんでだろう……」

 瑠璃も香織も違和感は感じているものの、その正体には未だ辿り着けていないようだった。

「分かった。じゃあ質問を変えよう。信号の色は? 黄色と赤色と」

「なんで……緑色も間違っていないはずのに、緑色だと違和感がある……」

「緑色なんだよ。緑色で良いはずなんだよ。なのに、なんで……?」

 二人の頭の中でぐるぐると、思考が渦を巻いてもやもやとした厚い雲がかかっていく。そして、その過程でとある事実に行き着いた。

「ちょっと待って。さっきのりんごも、信号も。緑色って答えたけど、実際は『何色』と習った記憶がない……誰かが緑色って言ってたから、そうだと思っていた……」

 二人の結論が浅葱の疑念と重なったところで、浅葱はりんごを持ったままテーブルの向こう側の椅子へと腰かけた。

「そう。俺達が当たり前に答えられる色の名前に自信を持てないのは、その名前を本当は『知らない』から。でも、今まで何の不自由もなかった。それはなぜか? 別にその色の名前を知らなかったことで特に問題はなかったからだ。

 物だろうが、人だろうが、全てにおいて『名前』は存在する。だが、全ての色に名前がついていて、この一色だけ宙に浮いていても誰も疑問を持たない」

 浅葱の指摘に、香織はわずかに身を震わせた。

「木を隠すなら森の中。自然の中に溶け込んだ不自然なら、誰も気づかない……」

「りんごを手に取って『この赤いりんご、美味しそう』とは誰も言わないだろ? もしそう言ったとしても、誰もが『りんご=赤い』という共通認識を持っているから、特に不都合はないけどな」

 夕日がカーテンの隙間から差し込んでくる。テーブルの上に並べられた、デッサン用の素材を照らし出し、まるでスポットライトのようにその存在を際立たせていた。

 瑠璃は不意に立ち上がり、浅葱の元へ。彼が持つりんご……ではなく、彼の描いている絵が気になって。キャンバスの前でいったん立ち止まり、浅葱に了承を得てからその絵を見せてもらった。

「今描いている絵の仕上げにこの色を使いたいんだが、何色か決まっていない色をこのキャンバスに載せるのは許せなくてな」

 浅葱は、ポケットから取り出した例の色の絵の具を手の中に握っていた。アルミの表面に一本、例の色でラインが引いてあるものの、他の色と違いそのライン上には色の名前が印字されていない。

「俺は、この色に名前を与えてやりたい。たとえ、自分の考えた名前が選ばれなかったとしても。絶対にこの色を使って、絵を完成させたいんだ」

 完成を今か今かと待ちわびるキャンバスをじっと見つめながら、浅葱は自分の思いを吐き出した。隣に立つ瑠璃は静かにその思いを聞きながら、その言葉の重さを噛みしめていた。……そして。

「やろう! 私も協力するよ! 絵のことはよく分からないけど、浅葱の書いたこの絵が完成したところ私も見てみたい! ね、香織も一緒にやるよね!」

「ふぇ!? あぁ、うん」

 視線を手元に落としながら、何やら調べ物をしていたらしい香織は突然の問いかけに、慌ててスマートフォンを取りこぼしそうになりながら、何とか空中でキャッチに成功し。改めて、その意思を二人に投げるのだった。

「乗りかかった船だしね。いいよ、私もやる。色の名前、絶対採用してもらおう!」


 終業式を終えた日の夜、瑠璃は自室でスマートフォンの画面をスワイプしながら、SNSの世界に浸っていた。タイムラインに流れてくるフォロワーの何気ない投稿に交じって、コンテストの内容に関しての投稿もちらほらと見受けられる。コンテストの規約上、その名前は発表されるまで公開できない為、各々が想像を巡らせていることが容易に伺える投稿が散見された。

 そんな中、ある一つの投稿が目に留まった。

「色彩策定委員会の『例の色』を決めるコンテスト? 正気かよ」

 肯定的な意見に交じって見受けられたその意見は、異彩を放っていた。

「どういうこと……」

 その人の前後の投稿を見てみようと、アカウント名をタップしようとした時。

 ポップアップで香織と浅葱の三人で作ったグループトークに、新しい発言があった旨を知らせてきた。

「ねぇ、ちょっとこれを見て」

 発言者は香織だった。一緒に色の名前を考えるメンバーとして名を連ねているものの、彼女の興味は「なぜ、例の色に名前がついていないのか」を探求するといういう方向へとシフトしていた。

「古代日本では、アカ・シロ・クロ・アヲの四語のみが存在していた。『緑』が色名として明確に定められるまで、現在『緑色』として定義されるものは、『あお』と表現することにした」

「あお……って漢字で書くと……?」

「『青』。私達が抱いた違和感の正体はこれだったんだ。本来は知っていて当然であるべき『青』という色を意図的に排除されている。……意識させないように仕向けてられいる」

「自然の中に溶け込む不自然……」

 手からするりとスマートフォンが滑り落ちる。幸い、床に落下することなく何とか机の端で耐えてくれたことに感謝しながら改めてスマートフォンを手にすると、瑠璃は自身の胸中をフリック入力した。

「それじゃ……色彩策定委員会のコンテストって何の為にやるの……?」

「……浅葱の既読はまだつかないか。とにかく、私の方でも詳しく調べてみるから。瑠璃は引き続き、浅葱と一緒に色の名前の候補を考えておいて」

 その返信を最後に、香織からのメッセージは流れてこなかった。しばらく画面をのぞき込んでいたものの、浅葱からの既読もついていない。

「そういえば……」

 ふと気になって、省電力モードに移行したばかりのスマートホンを叩き起こし、SNSのアプリを起動する。タイムラインは、グループトークを開く前の画面で止まっている。先ほども気になって、手を止めたその投稿。

「アカウント名は……これか」

 ごくりと喉を鳴らす。今からやろうとしていることは、もしかすると危険な行為なのかもしれない。

「いや、今はそんなこと考えている場合じゃない」

 瑠璃は最悪の想像を振り切って、震える手でその人物のフォローボタンをタップするのだった。


「おい、本当に来るのかよ。……ってかなんで俺なんだよ?」

「仕方ないでしょ、私の大事な友人を犠牲にするわけにはいかないんだから」

「浅葱、本当にごめん。後でコーヒー奢るから」

 三人はグループトークでそんなやり取りをしながら、とある人物を待っていた。一昨日、瑠璃がコンタクトを取った、コンテストの開催に否定的な投稿をしていた人物に。

 喫茶店内に流れる緩やかな空気とは逆に、三人の間には緊張という糸がピンと張られていた。浅葱は、二人掛けのテーブル席に一人。通路を挟んだ四人掛けのテーブル席に瑠璃と香織が向かい合って座っている。浅葱は落ち着きを隠せないまま、テーブルの下に隠したスマートフォンで、続く言葉を入力しようとして。

 ドアベルが軽快な音を立てて、開かれた。すかさず店員が駆け寄り席へ案内しようとしたところをやんわりと断り、通路を進んでくる男性。

 辺りをきょろきょろと見渡しながら、お目当ての浅葱の帽子を目にすると、

「あなたが……リルさん、でよろしいですか?」と、声をかけてきた。

 ベージュのコートに身を包み、帽子をかぶったその男性は、浅葱よりもやや大柄に見えた。

「は、はい」

 震える声で、浅葱がそう答えると男性は「では、失礼しますよ」と、浅葱の向かいの席に腰を下ろした。そして、その帽子を脱ぐなり。

「浅葱君、学校の外で会うのは初めてかな」

「え……? 柏木先生!?」

 浅葱がゆっくりと顔を上げると、目の前には三人が通う学校の美術の担当教師が座っていた。

 通路を挟んだ向かい側でもその衝撃は波紋を呼び、「え、え!?」と驚きの声を上げる香織の口を、瑠璃が運ばれてきたパンケーキを強引に押し込むことで黙らせていた。

「そんなに驚きかね。……まぁ、無理もないか。SNS上のやり取りだけでは性別も年齢も性格も分からないからね。犯罪に巻き込まれるケースなんて、現代では決して珍しくない。

 そのリスクを踏まえた上でも私にコンタクトをとってきたということは、君からのメッセージで十分に理解できたよ。……あぁ、すみません。ホットコーヒーと……君は何にする?」

 浅葱は、柔和なその笑顔に促されるまま、柏木からメニューを受け取った。ホットコーヒーを注文すると、「好きなものを頼みなさい」と表情で示されたので、ガトーショコラを追加オーダーした。

「ありがとうございます。正直、どんな人が来るのか不安でした。でも、どうしても知りたかったんです」

「そうだろうね。せっかくの機会だから、本当は世間話でも挟みたいところだけれど、この話は長くなる。単刀直入で本題に入るとしよう」

「よろしくお願いします」

 テーブルと額が接地するほどに深々と頭を下げる浅葱の肩を柏木は優しく叩いた。

「そんなに気を張らなくて良いんだよ。もっと緊張の糸を緩めて。今からする話の要点だけ、きちんと締めてくれれば良い」


「今から数十年前……ちょうど、私が君たちの年齢の頃かな。とあるダイエット方法が、ブームになったことがあってね。『カラーダウンダイエット』と呼ばれていた。

 今、色彩策定委員会がコンテストを開催しているあの色……青だね。

 青は、心理学的な観点から見ると、食欲を減退させる色とされている。

 これを利用して、食事を全て青色で置き換えるというダイエット方法がテレビ番組で紹介されたんだ。青という色は自然界に存在せず、人間は意識的に青という色から食事をイメージすることができない、という根拠に基づくもので、その情報は瞬く間に全国のお茶の間に広がっていった。昔は、今のようなSNSは普及していなかったから、当時のテレビの影響力は現代のSNSと同等といっても過言ではない。

 食品会社各社もこれに反応し、青を中心とした商品開発に力を入れた。様々な加工食品が世に送り出され、食卓を色鮮やかに『青』が彩った。が、しかし。

 先述したように、自然界に青は存在しない。加工品を作るにも、青く見せる工夫がいる。そこで今度は着色料が注目され始めた。

 規定量を食品に混ぜることにより、発色を良くしたり食品としての見栄えを良くする為のもので、現在でも様々な加工食品に使用されている。……規定量ならば」

 柏木はそこで一旦話を切り上げ、運ばれてきたコーヒーを一口。

「規定量を超えて使用すると、どうなるんですか?」

 浅葱の質問は、問うまでもなく初めから答えが分かっていてのものだったが、どうか間違っていてほしいという願望も込めての発言だった。

「そう。規定量を超えて使用すると、健康被害が出る。健康の為に摂取した食事で健康被害が出てしまうなんて、なんとも皮肉な話だがね。さらに付け加えるとするならば、着色料を使用してはいけない食材もあるんだ。

 各社がこぞって、鮮やかな『青』を表現しようと躍起になっていた。しかし、カラーダウンダイエットが一大ブームを巻き起こす裏で、一部の食品会社が当たり前のように、規定値を超える量や、使用禁止とされる食材に対しても使っていたことが分かったのは、健康被害が目に見えて無視できない数に上る頃だった。

 世論なんて、オセロの白と黒のように簡単にひっくり返るものだ。それまでブームに乗って、ダイエットが成功した人々からも次第に批判の声が上がるようになった。

 そして色鮮やかに青で着色した加工食品は、その売り上げを放物線を描くように落としていった。

 事態を重く受け止めた政府は、ついにカラーダウンダイエットの廃止を決定した」

「そんなことが……」

「信じられないだろうが、これが事実だ。その後、着色料のみならず『青』とみなされる食品に関しては厳しく規制されることになった。

 そして、この事件をきっかけに発足したのが『色彩策定委員会』だ。色や色彩について、適切な管理・運用を目的とする非営利団体。色がもたらす様々な影響について、多角的に研究する役目も担っているんだよ」

 そこまで話し終えて、柏木は再びカップに口をつけた。浅葱は、あまりの衝撃に言葉を失っていた。

 ちらりと、二人の方を見やると同様に顔面蒼白といった体で硬直していた。

「あの……先生、質問良いですか?」

「何だね?」

「なぜ『青』という名前を廃止したのに、言葉だけが残ることになったんですか? まるでその言葉を知ること自体がタブーのような……」

「国の方針としては徹底的な規制を目指していたらしいからね。現に、当時のニュースや新聞記事はどこにも残っていないはずだ。

 ただ、色の存在自体を失わせることは、表現の自由を侵害するとして、様々な団体から抗議があってね。

 政府の落し所としては『青という名前の色や言葉は実在するが、学校教育等に於いて、それを強く紐づけるように教導することは禁ずる』という形にしたかったらしい。表向きにでも、名前まで失わせることで、その意味を忘れさせようとしたのかもしれない。だから、名前だけが空白のまま現在に至るというわけさ。

 君のように不思議に思う生徒も少なからず見てきた。だからそれを聞かれる度私はこう答えたんだ。

 例えば君が海外旅行に行ったとする。言語が違い、人種も違う。そんな中、何を頼りにすれば良いのか。数字やイラストだ。それらは視覚に訴える情報で何を表しているか直感的に把握することができる。トイレのマークや、商品の価格がイメージしやすいだろう。男子トイレはこの色。1ドルでも1ユーロでも、数字は世界共通だからすぐに判別できる」

 その例えはまるで、カモフラージュのようだった。煙に巻いて、真実から遠ざけ、違和感を排除する。

 カップに浮かぶ黒一色の水面に、浅葱はミルクを注ぎ入れた。円を描くように水面に落とされたそれは、黒と交じり合い茶色い渦を巻いて、混沌の様相を呈してきた。

「なぜ、今頃……」

 ポトリとカップに落とした独り言は、すんでのところで目の前の人物に拾われた。

「時効、ということだろう。前に進む時が来た。これからの時代は、君達が担っていくんだ。若いことを『青い』と表現することがある。でも、その言葉と実際の色の名前をいつまでも曖昧にしたままでは、困るだろうからね。その為のバトンを手渡したいんじゃないのかな。SNS上で告知をしたのも、おそらくそういった理由だと思うけどね」

 そう言うと、柏木は残りのコーヒーを飲み干すと、流れるような動作で裏向きの伝票を取ると、ゆっくりと立ち上がった。

 気づけば瑠璃と香織が座っているテーブル席の窓からは夕日が差し込んでいる。オレンジ色に照らされ、ただただ静かにコーヒーを啜る二人の姿は、どこか哀愁が漂っていた。

「さて、と。そろそろ帰るとしよう。君たちも早く帰るんだよ。今夜は一段と冷えるらしいからね」

「先生、待ってください! 最後に一つだけ聞かせてください」

 浅葱は縋るような思いで、一番聞きたかった質問をぶつけた。

「先生はなぜ、コンテストに対して否定的な投稿をしたのですか?」

 その問いかけに、柏木は特に驚いた様子も見せず、今ままでと変わらぬ柔和な笑顔で、こう答えた。

「君達みたいな若者に疑問を持って欲しかったからだよ。実際に他にも何人か直接メッセージを送ってきた人達がいてね。同じように答えたよ。

 だから、最後に。公平に同じ言葉を君達にも送ることにするよ。

 今回のコンテスト、君達と同じ考えを持つ人は少なからずいる。君達がどんな名前を付けるか、分からないけれど。これは間違いなく、歴史に名を刻む……いや、歴史に色を残すチャンスだよ。心から応援しているよ」


 夕暮れの歩道を三人で連れ立って歩く。行き交う車の数はまばらで、家路を急いでいるのか、すれ違うスピードは一瞬だ。

「なんか……すごい時間だったね」

 最初に口を開いたのは香織だった。あの後、浅葱は二人の席に合流し食べかけのガトーショコラを平らげてから、店を後にした。会話はなく、まるで示し合わせたかのように、そそくさと。

「そんな過去があったなんて……」

 瑠璃も言葉が見つからず、ようやく絞り出した一言は、行き先を見失ったまま虚空へと消えていった。

「なぁ」と。不意に、数歩先を行く浅葱は立ち止まって二人の方を振り向いた。

「色の名前なんだが……『青』で行こうと思う」

 その瞳には確かな決意の炎が揺らめいていた。店を出る時には、鮮やかなオレンジ色の空が、今はどんよりと灰色の雲にとって代わり、白い雪がはらりと舞っている。その雪を解かすほどの熱い決意が。

 二人は驚き、互いに顔を見合わせ。先に瑠璃が口を開いた。

「理由を聞いても良い?」

「……そう言うってことは、お前は反対なんだな」

 瑠璃の問いに対する浅葱の返答は、怒るでもなく、落胆するでもなく。

「過去に起きた出来事は変えられない。だからこそ、人はそこから学びを得て『青』を廃止した。転んだ痛みを知ったからこそ、次は転ばないように慎重に歩くことを選んだ。

 だからこそ、このタイミングで名前を広く募集して、ここから新しい歴史を紡ごうという流れができた」

「それならなおさら、新しい名前の方が」

「それは違う。過去を忘れないために、ここから再び『青』を定義するんだ。しっかりと地に足をつけて、『青』を思い出す。先生から過去の話を聞けたからこそ、俺はこの名前に決めようと思う」

 浅葱は一歩も引かず自分の意思を貫く姿勢を変えようとはしなかった。

「ごめん、私には分からない。過去に起きた出来事を反省して、新しい『青』を定義するなら、その殻を破る意味でも、違う名前に置き換えなきゃいけないと思う。

 ここから生まれ変わるんだよ。来年私達は卒業して、その先でまた新入生になって、新しい制服に袖を通すように。心機一転。ここから始め」

 瑠璃の言葉はそこまでで遮られた。もういい、と。浅葱は続く言葉を片手で制して歩いていく。香織が慌てて浅葱を追おうとするのを俯いた顔で引き留めてから、地面に向かって瑠璃は別れの言葉を吐いた。

「香織……ごめん、先に帰ってて」

 瑠璃の肩にかかった雪を払おうと手をかけようとして、その肩が小刻みに震えていることに気づいた香織は何も言わずに、去っていく。

 一人残された瑠璃は、二人の姿が完全に見えなくなるまで、その場に立ち尽くしていた。


 家に帰るなり、熱い風呂に浸かり手早く髪を乾かして自室へと戻ると。スマートフォンに二件の通知が届いていた。香織と浅葱からだった。

「大丈夫?」とだけ表示されたそのメッセージに了解のスタンプを押して送信。

「もう二人だけで応募してくれ。俺は一人で応募する」と表示されたメッセージにも同じく、了解のスタンプを送信した。その後、既読がついたままどちらも返信は来なかった。

 ベットに寝転がって天井を見つめる。

 なぜ浅葱がそこまで『青』にこだわるのか。自分との考え方の違いは何なのか。新しい名前の色で心機一転、ここから始めれば良いと思った。それは、図らずも浅葱と同意見だった。でも、そこにある決定的な違い。思考を巡らせながら、体を左に向けると、ベッドの脇に置かれたぬいぐるみの数々が目に留まった。猫やペンギン、あざらし等見知った顔が並んでいる。左から購入順に並んでいて、一番最初に買ってもらった猫のぬいぐるみは元の色からはかけ離れるほどに色褪せていた。

「あ……そういうことか」

 瑠璃はベッドから跳ね起きると、机上のスマートフォンをひったくるようにつかむと、3人のグループトークに手早くメッセージを入力するのだった。


「ごめん、香織。こんな忙しい日に」

「大丈夫。大掃除も終わったし、おせち料理も届いたし。親戚も集まって今夜は家で宴会騒ぎだろうから。むしろ、家を出る理由ができて良かった」

「ありがとう。それじゃ行こうか」

 二人は連れ立って、浅葱との待ち合わせ場所に向かう。

「今年ももう終わりかと思うとあっという間だったよね」

 沈黙に耐えかねたのか、香織は他愛のない話題を瑠璃に投げかけた。

「そうだね。特に冬休みに入ってからはずっとコンテストのことばかり考えてたから。……この前はごめん」

「私は別に気にしてないよ。なんだかんだ言って色々楽しかったからさ。やっぱり自分の知らないことを知るって楽しいじゃん」

「とことんポジティブだね」

「だって、瑠璃の友達だもん」

 にっと歯を出して笑う香織の顔は、写真に撮っておきたいほどに映えていた。

「ありがとう。でも、今日で終わらせるから」

「瑠璃……」

 瑠璃の目には、あの日の浅葱と同じ、覚悟が宿っていた。


「久しぶり」

 着物姿の二人にさして驚く様子も見せず、浅葱はそっけない挨拶で出迎えた。神社の鳥居に体を預け、挙げた手をすぐさまひっこめた。

 本殿へと続く参道にずらりと並ぶ夜店の数々。カラフルに彩られた照明がその存在を誇示するように煌々と灯り、歩行者天国となった道路は、歩道にまで人が溢れかえり、大晦日という日の賑わいを見せていた。

「久しぶり。来てくれてありがとう。正直、来てくれないかと思ってたから」

「別に。俺の考えは変わらないけど、話だけなら聞こうと思ってな。除夜の鐘はつきにくるつもりだったし、この後友達と合流する予定なんだ」

 人混みの喧騒の中、二人の真剣な眼差しが交差する。

 香織はそんな二人の成り行きを瑠璃の一歩後ろで静観していた。

「浅葱、ごめん!」

 試合開始のゴングが鳴るとほぼ同時に、瑠璃は深々と浅葱に頭を下げた。

「お、おい! いきなりなんだよ! やめろ……なんか俺がいじめたみたいになってるだろ!」

 開始一秒で決着がつくとは思わず、なおかつ衆目も気にせず頭を下げてきた瑠璃の対応に、浅葱はただただ狼狽するしかなかった。

「私が間違ってた。浅葱はしっかりと過去を踏まえた上で一歩を踏み出そうとしてた。

 でも私は過去を知りながら、目を背けていた。過去の出来事をなかったことにして新しい道を開こうとした。温故知新。古きを知ることで、新しき歴史を紡ぐ。私達の『青』はこれまでの青を知った上で、さらに新しい歴史を刻んでいく『青』になる。そこに積み重なっていく、『青』の重さに私は気づいたんだ」

 そこまで説明し終えたところで、瑠璃は顔を上げる。おそらく浅葱は自分が想像している通りの表情をしているだろうと。そして、必ずこう言うであろうと予想しながら。

「応募サイトにアクセスしよう」


「色彩策定委員会です。現時刻をもちまして、応募受付を終了させていただきます。多数のご応募、誠にありがとうございました」

 その日、年をまたぐ一分前のつぶやきを以て、コンテスト用に設けられた賽銭箱の蓋が閉じられることとなった。

 それぞれの願いが込められた賽のうちの一つが日の目を見る瞬間は、三か月後の結果発表まで大事に保管されることとなった。


 卒業式当日。最後のホームルームも終わり、黒板には所せましと落書き……もとい、クラスメイトの思い出が綴られている。自筆のイラストの前で写真を撮ってはすぐさまSNSに投稿したり、連れ立って早々と校舎を後にしたり、皆それぞれの時間を過ごしていた。そんな中、三人は。

「よし、そろそろ移動するか」

 浅葱の提案に瑠璃と香織は共に、教室を出て美術室へと向かう。

 がらんとした室内。あの時と同じ、匂いと空気。そして、一つだけ布が外されたキャンバス。

 各々、手近な椅子に腰かけて今か今かとその時を待った。あと、数分。

「やばい、ドキドキしてきた」

「どうしよう。どうしよう」

「今更どうしようもないだろ、二人とも」

「とか言って、浅葱……手が震えてるよ?」

「ば、馬鹿……これは、武者震いだよ!」

 そんなやり取りをしながら時計の針は確実に、その時を刻一刻と刻んでいく。そして――。

「どう、どう!?」

 香織は薄目で画面を見ながら。瑠璃は片手で画面を隠しながら。

 そして、浅葱は潔く。その画面を見て一言だけ、どこか他人事のようにつぶやいた。

「あ、採用された」

 ほんの一瞬、時が止まった。瑠璃と香織は顔を見合わせるなり、次の瞬間には大粒の涙を流しなら抱き合って喜びをかみしめていた。

「よっしゃあああ!」

 浅葱は心の底からの歓喜を雄たけびにして、叫んでいた。

 三人のスマートフォンの画面には。

「厳正なる選考の結果。『例の色』の名前は、ペンネーム、ルリ様の『青』に決定いたしました。おめでとうございます」と表示されていた。


「実は俺、思ってたことがあってさ」

 喜びの涙も歓喜も一段落したところで、浅葱は口を開いた。

「今回のコンテスト、元々『青』で決定してたんじゃないかと思うんだよ。

 青二才とか青臭いとか。青を使った言葉なんて当たり前にあってさ。当然自分達はそれを文字として、言葉として認識していただけで、青がどんな意味を持つか、どんな色かなんて知らなかったわけで。それに疑問を持たない不自然さを自然に受け入れていたわけで。きっと他の名前が採用されたとして。今、青を使った言葉がその新しい名前の色の言葉に置き換わったとしても、多分その不自然さも自然に受け入れるんだろうな。

 今回のコンテストは、そんな人としての危うさを試された気がしてならないんだ。過去に起きた出来事を回顧することで、現代の若者達に『青』を知ってもらいたかった。

 先生にコンタクトを取った人達がどんな色の名前を提出したかは分からないけれど、青という名前で提出した人もいると思う。それでも、その『青』の本質を的確に突いたのは俺達だけだったんじゃないかと思うんだよ」

 その推測に、二人は異を唱えなかった。それはこの冬休みを共に過ごした戦友のような感覚を共有していたからに他ならない。

「そういえば、さ。せっかく『青』に決定したんだし。完成したところ見てみたいんだけど」

 瑠璃はそう言って立ち上がると、机の上に転がっていた青色の絵の具を浅葱に向かって放り投げた。

「あぁ、任せとけ」

 浅葱は鼻を鳴らして、キャンバスの前に立つ。パレットに適量を落として、筆につけ、鮮やかな青をキャンバスに載せていく。そして――。

「完成だ」

「どれどれ」

 瑠璃と香織はキャンバスを挟むようにして両側からその絵を覗き込んだ。

 三人の手が中央で重なって、桜の花びらが舞っている。そして、その背景色は青一色で塗られていた。

「綺麗な青……」

「すごく、素敵……」

 感嘆の声を上げる二人に、浅葱は準備していたタイトルが書かれたプレートをキャンバスの前にそっと置いた。

「タイトルは、『青に舞う、春に集う』だ」

「なんか、タイトルが付くとより青が際立って見えるね」

 そう言ってすっかり絵に釘付けになっている香織の向こう側では瑠璃がどこか不満げな顔をしていた。

「どうしたの、香織?」

「いや……もっとこうさ、シンプルなタイトルの方が良いんじゃないかと思って」

 瑠璃はしばらく唸った後、何かを思いついたのか。

「浅葱、ちょっと筆借りて良い?」

「あ、あぁ。ってちょっと待て」

「大丈夫、絵には触れないから」

 浅葱の制止を振り切って、瑠璃は青の絵の具をたっぷりとつけた筆でタイトルの一部を塗りつぶした。そして、自慢げにこう言い放った。

「タイトルは『青春』で」

 それを見た浅葱と香織は合点が行ったようで、そのセンスを讃えて皆で盛大に笑いあった。それは今日という日の青空のようにどこまでも澄み渡る、青い青い笑いだった。

「ところで、浅葱。この絵って美術部の卒業制作として何かのコンクールに出したりするの?」

「ん? 俺は美術部員だなんて、一言も言った覚えはないが」

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#0000FFを識る 和立 初月 @dolce2411

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