00√7 危機一髪
大河かつみ
目を覚ますと宿敵ミスターサディストがジェームズ・ホントを見下ろすように立っていた。
「ようやくお目覚めかね?ホント君。」
そう言ってサディストは口元をほころばせた。ホントは自分がテーブルの上に寝かされ、両手首、両足首がテーブルの四方の足にロープで縛られ身動きができない状態であることに気が付いた。かろうじて頭をもたげるとズキンと痛みが走った。どうやら背後から後頭部をガツンと殴られて気を失っていたらしい。
「ここはどこだね?高級スイートルームではなさそうだが。」
「我々のアジトさ。君は随分と我々の仕事を邪魔してくたようだね。ホント君。だが、ここまでだ。始末してやろう。君に死の恐怖を味合わせるために、わざといかししておいたのだよ。」
そう言って鋭利なナイフを取り出した。ミスターサディストのその名の通り残酷な男なのだ。
ホントは瞬時に思考を巡らした。ホントの身体にはいざという時の為にGPSが埋め込まれている。(今頃、上司のMが捜索してくれているはずだ。だから時間をのばすだけのばせば危機一髪、救助が来るに違いない。なんとしても時間を延ばさなくては。)
「ミスターサディスト、どうだろう。どうせ殺すにしても手足の指を一本一本切断してみては?君のサディズム趣味を満足させれるんじゃないか?その次に耳、鼻、少しずつそのナイフで削ぎ落すのさ。」
「いいのか?相当痛み苦しむぞ。」
「実は僕はマゾヒストなのさ。今迄あらゆる拷問に耐えてきたんだ。」
「面白い。いいだろう。俺もその方が楽しめる。」
ホンドは覚悟を決めた。ある程度、指を失っても死にはしない。それよりも時間稼ぎだ。
「さぁ、どの指からにする?」ホントはあえて笑ってみせた。
「どこから切断するかは俺の決める事さ。どうせお前は死ぬのだからな。」
そう言うと右足を持ち上げた。
(右足の指からか。・・・)
救出にかけつけたホントガールのジュリーと英国情報部の特殊部隊がサディストのアジトに到着すると奥からホントの悲鳴が響いた。
プラスチック爆弾で鋼鉄の扉を爆破、奥にかけつけミスターサデイストを射殺、危機一髪、ホントは死を免れた。
しかし、危機一髪で助かったからと言って良かったとは言えなかった。ホントの手足の指は切断されずに済んだ。サディストが最初に切断したのはペニスだったのだ。
これではこの先、どんなに美しいホントガールに囲まれても生殺しではないか。
「いっそのこと殺して欲しかった。」ホントは本当にそう思っていた。
00√7 危機一髪 大河かつみ @ohk0165
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