第3話 天邪鬼は天邪鬼
僕は天邪鬼ショウタ。中学1年。
人間を救ったが人間は恩義を感じるどころか僕を悪者扱いした。納得いかないが。
同じ天邪鬼一族のクラスメイトのサブが
「ショウタ、今度もまた人間は助けてやったがショウタを悪者した。いいのか?」
「まあいい。それに中学生活は今日が初日だ。
こんなものだろう。」
稲荷が「天野、君って案外大人ね。」
「いや。小さい子供でも、理不尽な経験は人間社会ではあることだ。特に問題ない。」
サブが「さすが若。ショウタ様。」
ショウタがふざけて僕に絡む。
稲荷が「天邪鬼でも人間の男子と同じね。それに私達、変幻獣の狐の男子も同じよ。男子って笑える。
そうね。気にいったわ。あなた達。昼休み私に付き合いなさい。焼きそばパンぐらいは、おごってあげるわ。屋上で。」
その後、午前のオリエンテーション、授業は順調に進んだ。
昼休み。稲荷に言われて屋上へ。ドアをあけた。心地よい風が吹いた。東京の風も悪くない。遠くに山も見える。
「稲荷があら、ちゃんと来たのね。」
「約束はちゃんと守さ。」「僕もさ。」
「やっぱり、君達、天邪鬼のこと気に入ったわ。天邪鬼って、もっと非道で鬼かと思っていたけど、人間よりきちんと正しいのね。真面目で人助けして。まるで神様みたいね。」
サブが「そうだろう。基本僕らは礼儀正しく。きちんとしている。なのに人間の社会では、
天邪鬼は悪い分類だ。悲しいよ。」
稲荷が「そうね。私達、変幻獣の狐も同じ。あまり良い印象はもたれない。人間が勝手に決めつけたイメージなのに。」少し悔しような横顔だ。
僕は稲荷に「稲荷、僕は、ついさっきまで僕自身が天邪鬼の一族だと知らなかったんだ。ずっと人間だと思って生活して来た。稲荷は初めから変幻獣の狐って知ってた?」
「私?私は初めから知らされて育ってきた。だから特に女子の付き合いには注意した。幼くても人間の女子には第六感的な感があるの。だから感のいい子がいると私は、すぐに仲間外れ。小学校の時はクラスが変わるたびに苦労したわ。」
サブが「狐様も大変だな。でもそんな大変な目にあってもなんで人間社会にいるんだ。」
稲荷は少し怒った顔で「これでも私、稲荷は人間社会で神様的存在なんだけど。」
僕は「あっ、そうだ。お稲荷さん。稲荷神社だよね。」
稲荷があきれた顔で「そう、そう、その稲荷。だからこの人間社会とりわけ、小学校や、中学は人間を知るための修行の場なの。いやでも学ばざる得ないの。だから、そこは、天邪鬼の君たちと同じ仮の姿。少しはわかった。天邪鬼くん。」
その時だった大きな風が吹きぬけた。屋上が触れる。端に立っていた稲荷が落ちた。
「きゃー。」
”光だ。”とっさに風が稲荷を包みこみ”ふわっ”と抱きかかえる。
稲荷のカラダがゆっくり屋上に戻ってきた。
とっさのことにびっくりした稲荷が動けず固まっている。
サブが「稲荷、大丈夫か?若・ショウタが天邪鬼の”光の力”でお前を助かたんだぞ。」
「そうね。そう。ありがとう。ショウタ。私、今、落ちたんだよね。屋上から。」
「そうだな。」
「ありがとう。」
「まあ、いいさ。焼きそばパンのお礼さ。」
稲荷が「稲荷神社の神様稲荷が天邪鬼に助けられた。やっぱり君たちは神様以上の神様かもね。」
「そうだな。」僕は一つ聞いてみたいことがあった、「稲荷、君は物知りのようだから知っていたら教えてくれ。この人間社会には僕ら以外に多種多様ないきものがいるの?」
「もちろんいるわ。人間社会はサバイバルよ。」
「そっか。それじゃ、天邪鬼一族参上しますか。」
もし君が危険を回避することがあれば、
それは天邪鬼一族が君の近くにいる証拠さ。
光とチリン。天邪鬼一族の鈴の音。
案外君自身が天邪鬼一族かもしれない。
天邪鬼のショウタ 京極 道真 @mmmmm11111
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