筋トレチラリズム
タヌキング
ウキウキウォッチング
僕の名前は万城目 順(まんじょうめ じゅん)。
究極の細マッチョを目指す男である。
今日も今日とてダンベルトレーニングを中心としたトレーニングで、筋肉を育てるぞい♪
【志は高く、体脂肪率は低く】というスローガンを掲げ頑張って来た僕。そんな僕の集中力を妨げる人が今日もやって来ている。
その人とは名も知らぬツインテールの美人さん、その人はいつも黒色のタンクトップとグレーの短パンを履いて、ベンチにてダンベルトレーニングする僕の前で、ヒップアダクションの器具に座り、股を開いたり閉じたりしてくるのである。
無論それはトレーニングとして股を閉じたり開いたりしているのであり、決して僕を誘っているわけでは無いのだが、女性んが股を開いたり閉じたりしているのだから男として反応してしまうのは無理も無いのではないだろうか?
それに加えて名も知れぬツインテールの人の筋肉は素晴らしい、可愛らしい顔とは裏腹に上腕二、三頭筋がバランスよく鍛えられており、前腕も常時血管が浮き出ている程である。ふくよかな胸の下の腹筋はバレンタインにはそれを配っているのかと言いたくなるぐらい板チョコだし、太ももだってパンパンに腫れあがっている。背中の僧帽筋、三角筋、広背筋も見事に仕上がっており、まさにパーフェクトマッチョガールの称号は彼女にこそ相応しい。
“ギシギシ・・・”
「くっ。」
そんな彼女が僕の目の前で苦痛に顔を歪ませながら、股を閉じたり開いたり・・・アカン、こんな背徳的な絵面を直視してはアカン。トレーニングジムとは己を律し、己を心身ともに鍛える場所である。決して如何わしいことを考える場所ではない。
素数でも数えるか?
「ちょっとそこのアンタ。」
「えっ?」
いつのまにか器具から降りている名も知らぬツインテール、そして彼女の方から話し掛けて来た。しかも、ゴミを見るような目である。それはそれで興奮してしまうのだから困ったもんである。
「アンタ私のことをいつも見てくるわよね?しかもチラチラと、バレて無いとでも思ったの?」
ヤバいバレてか。バレるよなぁ、一秒おきにチラチラ見てたら。最後の抵抗を試みてみよう。
「・・・み、見てないですよ。」
「噓おっしゃい。絶対見てた。そんでどうせ毎晩オカズにしてたんでしょ?はぁ、いやらしい。」
「ま、毎晩は流石に・・・。」
「見てたことは否定しないのね。」
「うっ・・・。」
言葉に詰まってしまった。どうやら彼女の方が僕より一枚も二枚も上手らしい。ここは腹を決めて誠心誠意謝るしかあるまい。
「申し訳ありませんでした‼アナタの肉体美があまりにも美しくて見惚れてしまっていました‼何でもお詫びいたしますので、お申し付けください‼」
「ふーん、どうしようかな♪」
可愛く悪戯っぽく笑うツインテールの君。クソ、こんな時すら可愛いとは反則である。
「じゃあさ、一つだけお願いしても良い?」
「ど、どうぞ。」
「私のお願いは・・・。」
ゆっくりと僕に近づいて来るツインテールの君。そうして息遣いが聞こえるぐらいまで近づいて来ると、僕の大胸筋を右手でツーッとなぞる様に触って来た。
「はぁはぁ・・・アナタの筋肉触らして欲しいな。」
息遣い荒く、頬を紅潮させ、完全にメスの顔をしているツインテールの君。
何だ僕たちは両想いだったんじゃないか。
こうして僕は素晴らしい彼女をゲットしました。
筋トレは全てを解決するというのは、あながち嘘じゃ無いかもしれません。
さぁ、そこの君も今すぐ最寄りのトレーニングジムに入会だ。
トレーニングで人生をより良い物にしようじゃないか。
筋トレチラリズム タヌキング @kibamusi
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