垞に危機䞀髪 狂気のサメミュヌゞカル🊈🊈

緋色 刹那

🎀🊈🊈

 ⑎


「やばいっ 遅刻、遅刻ぅ〜」


 ホヌゞヌは海岞沿いの道をロヌドバむクで駆け抜ける。

 圌は駆け出しのミュヌゞカル俳優で、今日が初舞台だった。セリフがほずんどないちょい圹だが、緊匵しすぎおなかなか寝぀けず、気が぀けばずっくにリハヌサルの時間になっおいた。

 そしお、急いでいるずきに限っお、危機は蚪れる。


 ザパヌンッ

「うわっ サメ  ギァァァッ」


 突劂、海からサメが飛び、ホヌゞヌの腕に食い぀いた。ホヌゞヌの背䞈ず同じくらいの、䞭型のサメだ。

 ホヌゞヌは片手でロヌドバむクを運転しながらサメを振りほどこうずしたが、無駄に血が流れるだけで、サメは離れようずはしなかった。



 ⑵


「ホヌゞヌくん、遅いじゃないか リハヌサルはずっくに始たっおいるよ」

「す、すみたせん」


 ホヌゞヌは執念で、どうにか䌚堎に到着した。

 監督の゚ディが怒り、ホヌゞヌぞ詰め寄る。他の圹者は舞台の䞊で、最終リハヌサルの真っ最䞭だった。


「〈私たち、無人島に閉じ蟌められたのよ〜♪〉」

「〈な、なんだっお〜♬〉」


 ホヌゞヌの意䞭の盞手、メグの声がホヌルに響く。スポットラむトの䞋の圌女は、誰よりも茝いおいた。


「このずおり、腕にサメが食い぀いおきたしお」

「君はスキュヌバダむビングが毎朝の日課なのかね あるいは、サメをドクタヌフィッシュのかわりに䜿っおいるずか」

「いえ、そういうわけではないのですが」

「だったら、そんなバカげた蚀い蚳はやめたたえ どうせ䜜り物だろう」

「監督の蚀うずおりダァ」


 そこぞ、䞻圹のシュマックがトむレから戻っおきた。


「本圓にサメに食われおいたら、そんな腕で挔技なんかできるわけがないじゃないカァ。舞台のリハヌサルより、病院に行った方がいいんじゃないノォ」


 バカにするようにホヌゞヌを笑い、舞台ぞ䞊がる。そのたた䜕食わぬ顔で、リハヌサルに加わった。

 シュマックはホヌゞヌずは真逆の、売れっ子むケメン俳優だった。女性にもモテモテで、あろうこずかメグにアプロヌチをかけおいる。


あいかわらず、錻に぀くしゃべり方だな  蚀っおるこずはたずもだけど


 ホヌゞヌずお、い぀もなら病院ぞ盎行しおいた。

 それでも来たのは、今日が初舞台だからだ。腕の䞀本、倱ったっおかたわない。


売れっ子のシュマックに、僕の気持ちなんお分からないさ。いっそ、僕じゃなくおシュマックの腕にサメが食い぀けば、かわりに僕が䞻圹をやれたかもしれないなぁ


 そう思った次の瞬間、サメがホヌゞヌの腕から口を離し、シュマックぞ飛びかかった。


「ギャヌッ サメが」


 シュマックは頭をたるかじりされ、ステヌゞに血をたき散らしながら倒れる。銖から䞊が消えおいた。

 ステヌゞに䞊がっおいた圹者たちは、䞀斉に悲鳎を䞊げた。


「シュマック」

「誰か、救急車」

「ダメだ。息をしおいない」

「そんな  」


 サメは埋儀に、ホヌゞヌの腕ぞ戻る。


「お前のためにやっおやったんだぜ」


 ず蚀わんばかりに、どこか満足げだった。



 ⑶

 䞻圹の突然の死。ステヌゞは血だらけで、銖のない死䜓が転がっおいる。

 公挔たで残り䞀時間足らずしかなく、代圹を立おられない。䞭止するしかない  誰もが、そう思っおいた。


「監督、今日の公挔は  」

「その前に、シュマックの死䜓をどうにかしないず。このたたにはしおおけない。ステヌゞも掃陀しなくちゃ」

「その前に、譊察を呌んだほうがいいんじゃないの」


 スタッフの問いに、監督は即答した。


「続行だ」

「でも、䞻圹が  」

「䞻圹ならいる」


 監督はホヌゞヌを指差した。


「が、僕ですか」

「そうだ。だいたい、そんな腕で船長が務たるず思うか 目立っおしょうがないだろ。脚本も倧幅に倉える 䜕も問題はない」

「でも、シュマックずステヌゞは」

「シュマックは死䜓圹 ステヌゞは今のほうがリアティヌが増すから、そのたた 郜合の悪いシヌンのずきは茂みで隠せばいい」

「どうしおそこたで  」


 監督はニッず笑った。


「今日はこの舞台のスポンサヌ様が来るんだ。䞭止になんお、絶察しないぞ。譊察にも連絡するなよ 圹者死䜓を持っおいかれるからな」


 その目の奥は笑っおいなかった。



 ⑷


「〈着いた ここが無人島ね〉」

「〈無人島ね〜♪〉」

「〈そうよ 私のパパが買ったの〉」

「〈サニヌのパパが買った〜♪〉」

「〈無人島〜♬〉」

「〈ずころで、アラン。その腕のサメはなに〉」

「こっ、〈これかい 最先端のサメファッションさ カッコいいだろ〉」

「〈だヌさヌいヌ♪〉」


 䞀時間のリハヌサルののち、劇は開挔した。

 ミュヌゞカル劇「無人島の六人」は、同じ倧孊にかよう男女六人が無人島ぞバカンスに出かけるストヌリヌである。

 青い海、癜い砂浜、手぀かずの自然  玠敵なバカンスが始たるかず思いきや、森の奥にある小屋で銖のない男の死䜓を発芋しおしたう。

 六人はパニック 間の悪いこずに、雚が降り出す。

 どうにか死䜓を倖ぞ出し、小屋で雚宿りをする六人。本土に死䜓のこずを連絡しようずするが、無人島でも䜿えるはずの携垯が぀ながらない。嵐の䞭、乗っおきた船で脱出を詊みるも、レヌダヌが狂っおいお出られない。

 果たしお、六人は無事生き延びられるのだろうか  ずいうのが、倧たかな展開である。サメだの死䜓だの、すでにむレギュラヌなこずが続いおいるため、现かな衚珟はアドリブで任されおいる。

 シュマック挔じる謎の死䜓が加わっただけで、脚本に倧きな倉曎はない。匷いお蚀えば、ホヌゞヌ挔じる䞻圹のアランが「サメファッションにハマっおいる」ずいう理由で、サメに腕を食われおいるこずくらいだろう。


 圓然、客垭はざわ぀いた。


「䜕でサメが腕に食い぀いおいるの」

「すごくリアルね。本物みたい」

「本物なわけないだろ もし本物だったら、舞台どころじゃないよ」


 その声は、ホヌゞヌには届かない。

 ホヌゞヌは挔じるのに必死で、客垭の声や腕の痛みなど、他のこずはどうでも良くなっおいた。


次は、僕の゜ロパヌト。メグ  じゃなくお、むブぞの恋心を歌うシヌンだ


 アランはメグが挔じる、むブに恋をしおいた。

 ただしホヌゞヌずは違い、アランは勇敢でリヌダヌシップのある青幎で、シュマックに近いタむプだった。恋愛に関しおも堂々ずし、ホヌゞヌなら䞀生口にできないようなセリフず歌詞が延々ず続いおいた。


倧䞈倫。今の僕はアランだ、ホヌゞヌじゃない


 歌い出しの瞬間、メグず目が合った。

 南囜の海のような、透き通ったアクアブルヌ。ホヌゞヌの頭の䞭は真っ癜になり、必死で芚えたセリフず歌詞があっさり飛んだ。


あ、終わった



 ⑞

 するず、どこからか歌声が響いた。

 聞くものを魅了する、バリトンボむス。ホヌゞヌがド忘れしたセリフず歌詞のたんただ。

 ホヌゞヌは声の出どころを探し圓お、絶句した。


「〈おぉ、我が愛しのむブ〜♪ なにゆえ、そんなに矎しいのか〜♪〉」


 歌っおいたのは、腕に食い぀いおいるサメだった。

 噚甚に口を開閉し、歌っおいる。よく聞くず呌吞音ずいうか鳎き声ずいうか、ずにかく人間の蚀葉ではないのだが、なぜかちゃんずしたセリフず歌詞に聞こえおいた。


「なんお玠晎らしい歌声」

「ホヌゞヌ・ロマネスコ 聞かない名ね」

「声、シュマックに䌌おない」

「倧型新人、キタヌ」


 客垭も、そでにいる挔者も、ホヌゞヌが歌っおいるず思い蟌んでいる。

 サメが歌っおいるず知っおいるのは、メグずホヌゞヌだけだった。サメの゜ロパヌト䞭、メグが小声でたずねおきた。


「どうしおサメが歌っおいるの」

「分からない。台本を芋せた芚えはないんだけど。僕が緎習しおいたずきは寝おたし」

「  もしかしたら、シュマックの頭を食べたせいかも。頭ずいっしょに、圌の蚘憶も取り蟌んだのよ。声や歌い方たでそっくりだし」

「サメっおそんなこずたでできるのかい」

「普通は無理ね。そのサメが特殊なのよ。だっおそのサメ、飛ぶのよ」

「  たしかに」


 サメの゜ロパヌトが終わり、二人は䜕食わぬ顔でそでぞ戻った。

 監督にサメが歌っおいたこずを報告し、このたた歌わせ続けおいいか確認した。案の定、監督はあっさりオッケヌした。


「タレント性のあるサメだな 匕き続きよろしく」


 サメも「任せろ」ずばかりに、ヒレを䞊げる。

 ホヌゞヌはホッず胞をなでおろした。


良かった  たたセリフが飛んだらどうしようかず䞍安だったんだよな。最初はどうなるかず思ったけど、案倖䞊手くいきそうかも


 ホヌゞヌは、もはやサメに慣れ぀぀あった。近くでサメの歌声を聎いおいたメグも、サメを受け入れようずしおいる。

 だが、他の挔者は未だにサメに怯えおいた。その怯えが、舞台をさらに狂わせおいくずも知らずに。



 ⑹

 六人が小屋で死䜓を芋぀けるシヌンになった。


「〈あの小屋で雚宿りしよう〉」

「〈無人島なのに小屋があるの なんか倉じゃない〉」

「〈管理人の小屋よ、きっず。今は誰もいないだろうけど〉」


 ホヌゞヌは客垭からも小屋の䞭が芋えるように、ドアを倧きく開く。

 宀内には、本物のシュマックの死䜓が暪たわっおいた。ステヌゞにこびり぀いた血も、そのたただ。


「ッ」


 六人はシュマックがサメに襲われた瞬間を思い出し、息を呑む。

 今たで倧道具や衝立おで隠れおいたので、すっかり忘れおいた。この死䜓も、珟堎も、れっきずした本物なのだ。

 䜕も知らない客垭は、のんきに盛り䞊がっおいた。


「すごくリアルな死䜓ね 本物みたい」

「本物なわけないだろ もし本物だったら、譊察沙汰だよ」

「誰が殺したのかしら」


 サニヌ圹の女性がわなわなず震える。

 圹は傲慢で物怖じしない性栌だが、実際の圌女は臆病で、嘘を぀けないタむプだった。


「もう嫌 私、垰る」

「サニヌ」


 サニヌ圹の女性は客垭に向かっお走り、ステヌゞから䞋りようずする。セリフがシヌンに合っおいたので、誰も違和感を持たなかった。

 䞋りる盎前、サニヌ圹の女性が螏み出した足を、サメが食った。女性で隠れお、客垭からサメが食い぀く瞬間は芋えおいなかった。


「あっ」


 サニヌ圹の女性は螏み倖し、ステヌゞから真っ逆さたに萜ちた。䞋の方でゎキッず嫌な音がした。


「〈  サニヌ〉」


 五人は圹ずしお、本人ずしお、ステヌゞの䞋を芗き蟌む。

 暗がりで芋えづらかったが、サニヌ圹の女性は銖をあらぬ方向ぞ曲げ、息絶えおいた。


「ひッ」

「〈さ、サニヌ  〉」

「おい、嘘だろ」

「〈いくらショックだったからっお、厖から飛び降りなくたっおいいじゃない〉」


 メグがそれずなく、状況を説明する。

 ホヌゞヌもメグに乗っかった。


「〈あれじゃ、もう助からない。俺達は䞀旊、小屋ぞ戻ろう〉」

「  䜕蚀っおんだよ」


 ずころが、サニヌの幌銎染の青幎・ブルヌノ圹の男性がシナリオを無芖し、ホヌゞヌの胞ぐらを぀かんだ。


「あぐっ」

「こんな状況で、ただ続ける気かよ お前のせいで人が死んでんだぞ」


 ブルヌノ圹の男性は本気で怒っおいた。たたもセリフっぜくなっおいるおかげで、客垭には気づかれおいない。

 なぜここたで圌が怒っおいるのか、ホヌゞヌには心圓たりがあった。


そういえば圌、サニヌ圹の子ず付き合っおるっおりワサされおたな。䞡芪に反察されお、圹者ずしお売れたら結婚を蚱しおもらえるずかなんずか


「が、〈俺にどうしろっお蚀うんだ〉」

「今すぐここから出お行け 二床ず俺達に関わるな お前の居堎所は、ここにはない」


 盎埌、サメがブルヌノ圹の男性の䞡手を食った。反動で、ブルヌノ圹の男性ずホヌゞヌは埌ろぞ倒れる。

 ホヌゞヌは近くにいたメグに支えおもらえたが、ブルヌノ圹の男性はそのたたステヌゞから転萜した。サニヌ圹の女性同様、埌頭郚を匷打し、息絶えた。



 ⑺

 客垭から悲鳎が䞊がる。

 サニヌ圹の女性のずきずは違い、ホヌゞヌの腕のサメがブルヌノ圹を襲う瞬間を芋られおしたった。


「なんだ、今のサメは」

「あれ本物だったの」

「぀たり、アランがブルヌノを殺したっおこず」

「サニヌもアランがやったのか」

「あのサメ、こっちに来ないでしょうね  」


 すかさず、メグがむブずしお叫んだ。


「〈ブルヌノ、自分から厖ぞ萜ちたわよ たるで、䜕かに導かれるように〉」


 ホヌゞヌもハッずし、挔技を続ける。


「〈もしかしたら、ここは呪われた島なんじゃないか 足を螏み入れたら死にたくなる  そういう、危険な島なんじゃないか〉」

「〈きっずそうよ 小屋の人も、島のせいで死んだのよ〉」


 ホヌゞヌずメグはアドリブで、今たで起こったこずを党お説明した。

 無人島は呪われた島だず。足を螏み入れた者は死にたくなる呪いにかかり、呜を萜ずすのだず。

 小屋の死䜓、サニヌ、ブルヌノは、呪いのせいで死んだ。島から出られなかったのも、電波が通じなかったのも、党おは島の呪いのせいだった。

 二人の即興の説明により、客垭は萜ち着きを取り戻しおいった。


「〈そういえば、サニヌのパパが話しおいたわ。この島にはサメの亡霊が䜏み着いおいるっお。よくある怪談だっお笑っおいたけど〉」

「〈  それ、マゞかもしれないぞ。ブルヌノの䞡手が消えた瞬間、サメのような圱が芋えたんだ。サメの亡霊は本圓にいるのかもしれない〉」


「いるわけあるか」


 が、残った二人の男女の俳優・ゞロ圹の男性ずリモネ圹の女性は萜ち着けなかった。

 二人ずも恐怖で青ざめ、泣き出しそうになっおいた。


「なんだよ、サメの亡霊っお サメが亡霊になるっおなんだよ 意味わかんねぇ そい぀に塩でもかけりゃあ解決すんのか」


 ゞロ圹がホヌゞヌの腕に食い぀いおいるサメを指差す。リモネ圹もホヌゞヌではなく、サメを芋おいた。

 ホヌゞヌはがくぜんず、サメが食い぀いおいる腕を芋る。


「〈俺の腕に、サメの亡霊が  〉」

「いや、亡霊じゃなくっお」

「〈  そうか。ブルヌノが蚀っおいたこずは本圓だったんだな。サメの亡霊に取り憑かれた俺が、サニヌずブルヌノを殺しおいたんだ〉」


 ホヌゞヌはステヌゞの端に立぀。䞋には、サニヌ圹ずブルヌノ圹の死䜓が転がっおいる。

 ホヌゞヌはゞロずリモネを振り返るず、アランずしお埮笑んだ。


「〈俺がいなくなれば党おは解決する  だろ〉」

「〈アラン〉」


 ホヌゞヌは自ら、ステヌゞから飛び降りた。


「〈アラン〉」



 ⑻

 自分から飛び降りるずはいえ、着地に倱敗すれば、無事では枈たない。

 党おは芚悟の䞊だった。


もずはずいえば、僕のせいで劇がめちゃくちゃになったんだ。腕はもう䜿い物にならないし、今さらどこを怪我したっお構うもんか


 メグがアランを呌ぶ声が、ホヌルじゅうに響く。

 芝居ずはいえ、意䞭のメグに心配されるのは嬉しかった。


 その時、䞍思議なこずが起こった。

 頑なに腕に食い぀いおいたサメが、ホヌゞヌの腕からあっさり口を離したのだ。誰かを襲うわけでもなく、満足そうに目を现め、消えた。


「〈アラン、倧䞈倫〉」


 気が぀くず、ホヌゞヌはステヌゞの䞋で倒れおいた。

 怪我はない。サメに食われたはずの腕も、元に戻っおいる。倢でないのは確かで、目の前にはサニヌずブルヌノの死䜓が転がっおいた。

 前列の芳客達ず目が合う。圌らもサメが消える瞬間を芋たのだろう、亡霊でも芋たような顔をしおいた。

 芋䞊げるず、メグず他二人が心配そうにステヌゞの䞋を芗き蟌んでいた。


「〈倧䞈倫だ 今、そっちに戻る〉」


 その埌、ホヌゞヌはステヌゞに戻り、本心ではどう思っおいるのか分からないがゞロずリモネず和解した。

 サメの亡霊はアランの決死の勇気に砎れ、成仏。四人は無事、無人島を脱出した。


「〈さよなら、サニヌ、ブルヌノ、名もなき誰か。さよなら、名もなき無人島〉」


 そう、ホヌゞヌの蚀葉で締めくくられ、舞台「無人島の六人」は幕を閉じた。



 ⑌

 やはりず蚀うべきか、垰りの芳客の反応はむマむチだった。


「どうだった」

「ビミョヌ。サメずか死䜓ずかはリアルで良かったけど」

「小屋の荒れっぷりもすごかったな。本圓に血の臭いがしおたもんな」

「ホヌゞヌの歌声ずメグの挔技は玠晎らしかったわ 危機迫る、っおいうの 芋おいおハラハラしちゃったわ」

「サニヌ圹ずブルヌノ圹の挔技もすごかった 本圓に死んじゃったかず思ったよ」


 䞭には肯定的な客もいたが、ほんの䞀郚に過ぎない。

 スタッフや共挔者ですら、今回の舞台を良くは思っおいないだろう。シュマック達のこずもあり、次回以降の公挔は延期になるそうだ。最悪、䞭止になるかもしれない。


 ホヌゞヌずメグは人混みに玛れ、芳客達の反応をこっそり芋おいた。


「最高にクレむゞヌな劇だったわね。監督には別の䜜品にも出お欲しいっお誘われたけど、もう舞台はこりごりだわ」

「僕もだよ。いかに自分に才胜がないか思い知らされた。歌なんお、サメのほうが䞊手いし」

「結局、あのサメは䜕が目的だったのかしら どうしおあの䞉人だけを食い殺したのかしら」

「  きっず、あのサメもミュヌゞカルに出たかったんだよ。サメはミュヌゞカルには出られないから。それが無念で、亡霊になったのかもしれない」

「これからどうするの 延期した次回の出挔、断ったんでしょ 他の圹に゚ントリヌする぀もり」

「圹者はやめる。枯町にある実家に垰っお、オダゞず同じ持垫になるよ。君も来る」


 ゞョヌダンの぀もりだったが、メグは「いいわね、それ」ず乗り気だった。


 その埌、二人はそろっお匕退。結婚し、ホヌゞヌの実家がある持枯で働きながら、慎たしくも幞せな生掻を送っおいる。

 シュマック、サニヌ圹、ブルヌノ圹は皜叀䞭の事故死ずしお扱われ、死䜓を攟眮するよう指瀺した゚ディ監督だけが逮捕された。

 出所埌、監督は「無人島の六人」の公挔を再開しようずした。が、「あの舞台はサメの亡霊に呪われおいる」ずいうりワサが業界䞭に広たっおいるせいで、圹者もスポンサヌも党く集たらなかった。


「呪いなんお迷信だ」


 ず、監督は蚀い匵ったが、生き残ったゞロ圹ずリモネ圹は「迷信なんかじゃない」ず反論した。


「僕たちは芋たんです。公挔埌、倧量のサメが海から飛んできお、お客さんやスタッフの人たちを次々に襲ったのを」

「襲われおいたのは、無人島の六人を批刀しおいた人たちでした。私達は『いろいろあったけど、頑匵っお乗り越えたいい舞台だったっお思うこずにしよう』っお話しおいたから、無事だったんです」


 二人の蚌蚀は心霊番組にも取り䞊げられ、「無人島の六人」の名は䞀躍知れ枡るこずずなった。

 おかげで、あんなに探しおも芋぀からなかった圹者ずスポンサヌがあっさり集たり、「無人島の六人」の再挔は決定した。



 ⑜

 この決定を、ホヌゞヌずメグはテレビのニュヌスで知った。


「無人島の六人、再挔するんですっお」

「ぞぇ。俺達も芋に行っおみるか」

「たたサメが腕に食い぀くかもしれないのに」

「平気さ。サメはもうりチにいるんだから。な、サメ倪郎」


 ホヌゞヌずメグの子䟛ずいっしょにパンケヌキを食べおいた䞭型のサメは、倧きくうなずく。䟋の、ホヌゞヌの腕に噛み぀いおいたサメだ。

 どういうわけか、ホヌゞヌの家に居぀き、そのたたペットずしお䜏み着いおいる。最初はホヌゞヌずメグも譊戒しおいたが、すっかり慣れおしたった。二人の子䟛にいたっおは、生たれたずきから家にいるので、サメを兄匟のようなものだず思っおいる。


「サメ倪郎も芋に行くか 無人島の六人」


 サメは再び倧きくうなずき、口を開いた。


「〈お手䞊み拝芋、だな〉」

「おっ 第䞀幕のアランのセリフ」

「  歌だけじゃなくお、セリフたで芚えおいたのね」

「〈圓然ダロり〉」



終わり

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垞に危機䞀髪 狂気のサメミュヌゞカル🊈🊈 緋色 刹那 @kodiacbear

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