スマホ
「こんなもんかな」
夜。俺は自室のベッドに寝転がりながらスマホを操作していた。
カチャ。
今何をしているかと言えば――ちょっとしたつぶやきである。
何のかって?もちろん今日の事に関してだ。
なかなか、なかなか今日はいろいろあった。いつももここまではない。俺も1日だと本当はもう少しネタは少ないかと思ったが今日だけでかなり幼馴染のことを書けるので、ちょっと匿名でポチポチとつぶやいてた。
もちろんみんなに見てほしいから――ではなく。ちらっと。お馬鹿な幼馴染のことに関してつぶやく――いや、やっぱりこんな幼馴染いるんですがどうしたらいいですかね?と、別の人の意見が聞ければと。まあ意見。コメントなど来なくとも単に俺が書いてみたくなり書いているのだが。そもそも実際はこんなことないだろー。って、なると思うからな。まあ、ちょっとした俺の雑談。ショートストーリーだ。
ちなみに多分これは幼馴染。真由にバレたらやばいというのはわかっていた。もし実際にあったこととバレると真由が。だからな。まあ周りは気にしないからいいだろうが。でもさすがに恥ずかしいこともだしな。
「牧人ー」
「はいっ!?」
すると急に俺の背後で真由の声がして、俺はとっさにスマホをの画面を下側にベッドに押し付けて声の方を見ると声の通りパジャマになった真由が何故か俺の部屋の中に立っていた。
心臓に悪いわ。
「ちょ、何大声出して。なになに?エッチな画像見てた?」
少し顔が赤色真由――どうやら風呂上がりにこちらへとやってきたらしい。って、いつ部屋に来たんだよ。
もしスマホの中見られたらやばかった――だったが。真由の様子からは気が付いていない。さすがお馬鹿。気が付かれず俺。セーフ。
「見てないわ。っか、なんで俺の部屋いるんだよ」
「そりゃ――なんでだっけ?」
「――馬鹿だろ」
いや、マジで大丈夫かよ。真由の頭が心配になるよ。
「あー、馬鹿言った。馬鹿言った方が馬鹿なんだからー」
「はいはい。って、夜だし帰れよ」
「嫌」
「なんで即答なんだよ」
「そうそう。だって『おやすみ。明日も起こしてー』って、言いに来たら。牧人がなんか――今日の私の出来事スマホで書いてたからね。そりゃ一応確認でしょ。っか、さすがにラスト恥ずかしいんだけど?口外禁止言ったし。って、なにメモしてるの」
「――」
あれ?おかしいな。ギリギリバレなかったはずなんだが――普通危機一髪セーフの場面じゃなかったのか?相手はお馬鹿な真由だぞ?なんで今だけ――って、もしかして真由こっそり部屋に入って来てずっと後ろから見てた?どっかでドアの置く音した?いやいや――気が付かなかったぞ?俺は。えっ?顔が赤いのは風呂上がりじゃなくお怒り?まさか。
「牧人?スマホ見せろ」
「……」
……俺の幼馴染――今は怖い。お馬鹿オーラはなく。笑顔が怖い。
馬鹿馬鹿言ってごめんなさい。
「牧人」
「はい」
なお、この時布団に押し付けたスマホが奇跡的にタップ扱いになったのか。俺の書いていたことが全国発信されていたことにはまだ2人とも気が付いていない。
どうやら真由も馬鹿なことばりしていたが。俺も馬鹿――2人ともギリギリ?を攻めすぎたようだ。
危機一髪セーフとはなかなかない。
「牧人の馬鹿!」
どちらもギリギリを攻めことごとく失敗の1日だった。
了
無駄にギリギリをせめて無駄にする幼馴染 くすのきさくら @yu24meteora
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます