第4話 ナス子
「私の名前は、ナタリーナタリーテンペストシャイニーセルリアントアイビーゴボウハコベラホトケノザキノコマツタケシメジシチメンチョウエクスプロージョンファリルスズラセイレンハナコといいます。」
「…。なんて?」
「ナタリーナタリーテンペストシャイニー…」
「それはもういい」
こいつの両親の頭はいかれてるのか?寿限無みたいな名前つけやがって。新手のキラキラネームだろうか…。いや、キラキラはしてないが。
フルネームで呼んでたら雑談してる内に日が暮れてしまう。
良い感じのあだ名を付けないと…。
「じゃあお前は今日からナス子な。」
「なんで!?」
仲間が2人に増えたところで、冒険者ギルドでパーティ申請をしに行くことにした。
パーティとは旅の仲間のグループ的な感じである。
パーティとなると、特にメリットもデメリットもないが正式な仲間になれるのは嬉しいものだ。まあ、ドラゴン退治の報酬を貰うついでだ。
次の日の朝、俺たちが荷物を詰め込んだカバンを背負っている時、ナス子はどこからともなく古そうなホウキを取り出した。
「それにまたがって飛ぶのか?」
「ええ。魔女であるからには移動法はホウキじゃないと駄目だと思うので…。」
そんなことも無いと思うが…。実際ラノベとかじゃホウキで空を飛ぶのはごく稀だ。
ただ魔女がホウキで空を飛ぶというのはとても夢がある。
俺も昔はホウキで空を飛んでみたいと考えたことがあったが…、体の構造上不可能なことに気づき諦めた。
ナス子はホウキにまたがり、空を飛んだ。
「皆さんにあわせてゆっくり飛ぶか、先に町に行くかどっちの方がいいですか?」
「?俺らは乗せてくんねーの?」
ブレイブがナス子にそう聞いた。
ホウキは長めだ。多分2人乗りぐらいまでは出来るだろう。
「重量オーバーですよ!1人のり用なんです」
ホウキにも2人以上用とかがあるんだろうか…。とにかく俺が重いからとかじゃなくてよかった。
好きな方にしろというと、ナス子はさっさと町の方に飛んで行ってしまった。
町に帰る途中スライムに襲われるというトラブルがあったがそれ以外は特に何も無く町に辿り着くことが出来た。
スライムを見て俺はトラウマに震え上がりギャーギャー言っていたところブレイブがそのすきにスライムを倒していた。
町で報酬を貰い、パーティ申請をした後、俺たちは飲食店で話していた。
「次は何する?」
「んん、どうしましょうか、もぐ。おいしいですね、これ。」
ナス子は、こんがり焼かれた骨付き鶏を食べていた。こしょうと醤油で味付けされ、非常に美味しそうである。
「やっぱ肉好きなんだなあ、肉子」
「肉子じゃなくてナス子です!いや、ナス子でもないですが!!」
とかいいつつ、ブレイブもちゃっかりハンバーグをほおばっている。
ブレイブとナス子の言い争いを聞きつつ、俺はこれからのことを考えていた。
「これからどうする?旅に出るのでも適当に依頼をこなすのもいいと思うが。」
「どうでしょうね。私は生きていけるだけのお金があれば何でも…。」
ドラゴン退治で景気がよくなったばかりだ。しばらくは金が無くて金をせびったりする必要はないだろう。
「ダンジョンはどうだ?レベル上げたいし。」
レベルが上がると、次第に冒険者ランクも上がる。ただ、Cランク以上は試験を受ける必要があるが…。今は考えるべきではないだろう。
「いいな!そろそろアンデッド系ぶっ飛ばしたくなっててさ!」
「ええ…ダンジョンですか?私使い物になりませんけど…それなら良いですよ。」
「じゃあ、早速明日行くか。」
ナス子は気が乗らないようだが、俺だってスライムすら倒せないままだと苦しい。
足手まといにならないようにしなければ。
俺は明日への想いを馳せながら、親子丼を口に入れた。
異世界転移物語 pcラマ @pcrama
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