第3話 焼き肉
「ドラゴンはどうする?まず魔石を取り出して…。」
「魔石?」
聞いたことのないワードに首をかしげた。
魔石ってなんだ?魔法の石?
「知らないのか?魔力のこもった石の事だな。でも魔物に入ってるのは純製じゃないけどな」
「純製?」
「んえーっと、魔石にも純製とそうじゃないのがあってな。純製は洞窟とかにあるんだが…、魔物のはナンというか邪のエネルギー?があって…、やべー…的な?」
「そっか?よくわかったよ、?」
あまりよく分からなかったが、魔石には純製と違うのがあって、純製以外のはよくないやつらしい。
「俺、魔物とか解体できるから今日は焼き肉にでもしないか?」
「まじで!?」
ブレイブは目を輝かせてこちらを見ている。
やっぱどこの世界でも焼き肉は正義だ。
「肉もう何ヶ月も食べてねえんだよぉ…。」
俺は野宿するかもしれないと考え、調理器具や調味料を持ってきておいて良かった。
ブレイブも喜んでくれそうだ。
金網の上に乗せた、解体したドラゴンの肉がジュージューと音を鳴らしている。
肉に赤いところが無いことを確認し
「そろそろかな…。」
と言って、肉を他の皿に移し、それを口の中に運ぶ。
その瞬間、肉汁が口の中に広がり、醤油と焼けたお肉の匂いが鼻まで届いた。
「んんんんんん~~。」
思わず声が溢れ出る俺を見て、ブレイブは丁度焼けたドラゴン肉を待ちきれないと言わんばかりにむさぼった。
「あっづ!でもうっまぁ…」
ブレイブはあふあふと言いながら、しかし確実に肉を噛み、ごくんと飲み込んだ。
疲れ切った男2人で、たき火を囲みながら口をとろけさせていたその時、後ろから知らない声が聞こえた。
「肉ぅ…、肉、にくぅ…。」
そんな食に飢えた獣のような声を出しながら現れたのは、大きな帽子を被った少女だった。
しげみから現れたのでてっきり魔物か何かかと思ったが、人間だった。
しかし、目がまるで魔物のように開かれ、たき火で焼いている肉をじいっと見つめてから
「肉肉肉肉肉肉肉ぅぅううう!」
少女はそう叫び、網の上に乗っている肉を貪った。
俺たちは、ドン引きした。
「ごめんなさい、一週間何も食べてなかったんです…、許して下さい。」
焼き肉用に切った肉を全て平らげた後、ブレイブに服ごとつりあげられた少女はそう謝った。
大きな三角帽子に、真っ黒なワンピース。典型的な魔女の服装をしていた。
ただ、髪型はおかっぱだし、背は小さい。中学生ぐらいの見た目をしている。
そう言う少女を睨むブレイブを見て、
「なんでもします!許して下さい!」
「ふぅん…何でもね。」
俺がそう言った途端、少女がはっとしたように顔を青くした。
ブレイブもハッとしたような顔をした。
2人ともどうしたんだ…?
「え…、な、なんですか!まさか、私に、い、いかがわしいことをするつもりじゃ!でも私は罪を犯した身…。それを拒むことが出来ないなんて…、酷いです。ロリコン」
「ソーイチ、まさか俺だけじゃ飽き足らず…」
「違う!!!!断じて違う!俺にロリ趣味はない!お前も誤解されるようなことを言うな!!!!!」
「私を、仲間に?良いんですか?」
「まあ、仲間が集まらなくて困ってたんだ。」
少女は目をかがやかせ、ありがとうございます!と喜んでいる。
おそらく俺と同じで仲間が集まらなかったクチだろう。だとしたらこんなところで腹を空かせているのもうなずける。
「でも食った肉分稼げよ。」
「あ、はい。」
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