愛を待ってる

鳥尾巻

青空

 もうだめだ。壊してしまった。


 宇宙の果てまで見えそうな、青く澄んだ空を見上げ、ぼくは静かに涙を流した。

 ずっとずっと好きだった。些細な仕草、何気なく交わす会話一つにドキドキした。一番仲の良い友達のポジション。共に過ごせればそれで良かったはずなのに、ぼくを見る眼差しに意味を求めてしまった。


「好き」の気持ちが溢れ出て、言葉がこぼれ落ちて、その瞬間の驚いた瞳に絶望した。相手も同じ気持ちなんて、ただのカン違いだ。

 言いかけた言葉を聞きたくなくて逃げ出した。


 あまりにも滑稽で、一周回って笑えてくる。ぼくは鼻歌を歌いながら、屋上のフェンスを乗り越えた。

 この歌を歌い終わったら、ここから飛び出そう。誰もぼくを知らない世界に行くんだ。ぼくなんてこの恋心と一緒に消えてしまえばいいよ。


 最後の一節を歌い終えて、下を見ないように目を閉じる。


「さよなら。大好きだったよ」


「……もう過去形かよ」


 背後からの声と、ぼくを抱き寄せた力強い腕に息が止まりそうになった。


「危なかったぁ……人の話は最後まで聞けっていつも言ってるだろ」


 恐る恐る目を開けると、大好きな親友がぼくを見下ろして、泣きそうな顔で笑っていた。


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