かくれんぼ
滝口アルファ
かくれんぼ
危機一髪で思い出すのは、
小学生3年生くらいのとき、
自宅で友達1人とした、かくれんぼだろうか。
そもそも、
家の外ではなく、
家の中でかくれんぼをしようとするのが、
子供らしく、ほほえましい発想である。
それだけ退屈だったのだろう。
そうして、
当時の無邪気な私と友達・こうちゃんは、
私の2階建ての家の中でかくれんぼすることになった。
多分、その日は春休みだった。
両親が出かけていたので、
かくれんぼでもすることになったのだろう。
とはいっても、
狭い家の中である。
子供の小さな体とはいえ、
隠れるところなど、ほとんどない。
おそらく、じゃんけんをして
私が隠れる側、こうちゃんが鬼。
私は、
二階の箪笥の上の
人形の入った硝子の箱の上に隠れていたのである。
子供にしては、
かなり工夫を凝らした場所だったように思う。
そして、
「もういいかーい?」
「もういいよー!」で、
かくれんぼは始まったのだが、
やはりすぐに、
こうちゃんに見つかってしまった。
「見つかったあ」と思いながら、
私が人形の硝子の箱から降りようとしたとき、
私の右の膝頭が
その箱の上部の硝子に食い込んで、
硝子が刃物のように突き刺さった。
私の膝頭は、
ひどい出血だった。
私は、痛みよりも、
恐怖と羞恥で泣きわめいていた。
しかし、すぐに、
こうちゃんがこうちゃんの母を呼んで、
近所の病院へ連れて行ってくれたので、
幸いなことに大事には至らなかった。
もし、あの硝子が、
心臓とか頸動脈とかに突き刺さっていたら、
致命傷だったかもしれなかった。
人生は、紙一重である。
まさに、危機一髪だった。
かくれんぼ 滝口アルファ @971475
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