転生
西式ロア
転生
私は死んだ。何度も何度も。
そのすべては殺された。何度も何度も。
私の身体・精神は苦痛で満たされた。何度も何度も。
何百回かの死の後、私は椅子に縛り付けられていた。
ライトに照らされた男が三人いる。彼らはスーツを着ていた。顔は見えない。
「やっと目覚めたか」一人が言った。
彼らは言った。「お前は大罪を犯したのだ」と。
だから死を経験させるのだと。何度も何度も。
これからも死は止まらない。
毎回の死。私は生まれ変わる。男、女、子ども、老人へと。
生まれ変わった私には、その体の記憶がある。感情もある。人生がある。
死にたくない恐怖。耐えられぬ苦痛。それらは慣れぬ。許してはくれぬ。
どうして私がこんな目に。
何十回目かの男たちとの再会。私はついに抜け出せた。男たちを殺し、ついに自由の身となったのだ。
その時私が見たものは、つい先殺したはずの男がこちらに銃口を向けている姿だ。その顔は笑っていた。
何百回目もの生まれ変わりの末、私は物書きとなった。
私は何であろうか。
パタン。
担当者に送った原稿を今一度眺め、私はパソコンを閉じる。
その時、担当者が部屋に入ってきた。
「先生、どういうつもりですか」
彼は青ざめている。
「変なことはやめてください」
今回はどうなのか。
「奥さん、子どももいるんでしょう」
私にはいない。私には。
こめかみに先を当てる。
私は引き金を引いた。
これは私の罪である。
転生 西式ロア @nisisiki_roa
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