勝負(中編)
マリーから無尽蔵の魔力が溢れ出す。
先程まで互角だった『権冥の世界』が徐々に『惑星工房』に染められていった。これが意味するのは──
「──僕の魔力量を上回りやがった!」
僕が焦っているのを見て、マリーは満面の笑みである。
シンプルにうざい。今すぐあの勝利を確信した笑顔をぐちゃぐちゃにしてやりたい。
ぐちゃぐちゃになった顔を思い浮かべ、僕は僅かに興奮を覚える。
「…僕ってこんな性癖持ってたんだなぁ……やべっ!」
自覚していなかった性癖に自分で引いていると目の前に火の玉が迫っていた。外面はただの下級魔術である『火球』だが、内にはとんでもない魔力が込められている。
真上に飛び上がり回避すると…まるでそれを狙っていたかのように、マリーが雷電を放った。
光の速さで迫る雷電を見つめながら、思考を巡らせ、ひとつの結論に辿り着く。
それは防御、それも即死級魔術を防げるほどの防御だ。幸いにもその魔術は持ち合わせているが…
「こいつを使うのは正直面倒臭いけど!命、大事にだしな!『
頭上に魔法陣が描かれたかと思うと、そこからドロリとした黒い液体がドチャッと音を鳴らして落ちる。それは、雷電見ると自ら喰らいに行った。
それの正体は闇属性の上級魔術である『闇喰』。攻撃にも使えるが、魔術による攻撃に無類の防御力を誇る。その効果は魔術に込められている魔力を喰らうといったものだ。
魔術とは収束された魔力が具現化したもの、その魔力を喰らえばそれは無と化す。防御から反転して、攻撃には喰らった魔力をそのままお返しできるといったところだ。
そんなチート魔術にはもちろんデメリットがる。
それは徐々に女の人間の形になっていくと───
「───フィル!久しぶりに私を呼んでくれたわね!私ずっと寂しかったのよ?貴方が全然こっちに呼んでくれないから嫌われちゃったのかと心配したじゃない!でも今呼んでくれたから私はとっても元気よ!……うん!前よりも魔力量が増えてる!それに身長も伸びてとってもかっこよくなってるわ!スンスン……ねぇ、女の匂いがするんだけどなんで?フィルの女は私だけのはずでしょ?……でも今は気にしない、私を呼んだってことはピンチなんでしょ?愛しのフィルの為だもん、何でもするよ。家事でも肉壁でも犯罪でも、勿論……性処理、もね♡」
「…ありがとう」
……5秒間だけでとんでもない量を喋った女…その正体は俺が『魔界』に行った時に偶然保護した『スライム』のラムだ。
元気になるまで保護していたのだが、お世話していく内にこんな感じになってしまった。
怒涛の言葉責めで思考停止していた僕の後ろからドサッと地面に何かが落ちる音がする。
音がした方向へ向くと…マリーが地面にへたり込んでいた。
わなわなと、体全体が震えだし、俺…の腕に巻き付いているラムに指を指す。
「嘘、でしょ…どうしてここに……原初のスライムが居るのよ…」
「へっ?」
へっ?原初のスライム?……へっ?
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えちょまです
久しぶりの更新、いえあ
新作です。ぜひ
https://kakuyomu.jp/works/16818093073156369065/episodes/16818093073161593644
それじゃ
闇属性と隠れ属性が合わさったらどうなるのか試してみたらとんでもない事になっちゃった えちょま @mepuru127
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