GAME OVER
日本では、毎年8万人前後の行方不明者が出る。
認知症の患者や、家出した者。自殺目的で消息を立ち、まだ死体が見つかっていないだけの者。遊び癖や放浪癖、犯罪被害・事故遭遇のおそれのある者。
原因はさまざまだ。
そんな中で、原因不明――つまり、行方不明の理由が全く分からない者が毎年20%程度出ている。
彼らは、いま、どこで何をしているのだろうか。
もしかしたら、意外と近くにいるのかもしれない。
ほら、ゲームを立ち上げてごらん。
その主人公は、生きているかい?
コンティニューしたら生き返れるかい?
命はひとつなのに、やり直しなんてできるのかい?
今宵の生贄は、誰かな。
2:22になったら、教えてあげるよ。
生贄のことを、一番嫌っている人に。
生贄に選ばれたら、教えてあげるよ。
スタートボタンを押せなくなったら生贄だ。
だって、君はもうゲームオーバーなんだから。
え? ゲーム機を持っていなければ怖い目に遭わないって?
じゃあ聞くよ。君の人生に、ゲームは必要だったかい?
いつの間にか、ゲームをしていなかったかい?
どうして、ゲームをするようになったんだい?
――答えられないよね。それが運命ってやつさ。
君は人を恨み、嫌い、脳の中で殺し、夢で殺し、亡き者にする。
内弁慶のヒーローさんだ。
このゲームは、君の願いを叶えるもの。
さあ、嫌いな奴をとことん痛めつけよう。
なあに、君が手を下す必要はない。
願いが勝手に叶うだけ。そう思ってくれていい。
代償は、君の命。
人を呪わば穴二つ、ということさ。
さあ、地獄へようこそ。
― END ―
スタートボタン 篠塚しおん @noveluser_shion
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