第2話

ぼくだって、運命だか、なんだか、不思議なものを期待している。ひとのことは、言えない。その本に、

『運命のひとに出会うには、少しだけ、過去を変えないといけません。30分だけ、タイムスリップしてみましょう!』

と、書いてあった。

え??と思った瞬間、周りの空気が変わりはじめ、景色がゆがみ、気が付くと、新しくなった、その公園に来ていた。タ、タイムスリップ??なんだ?周りの建物がみな新しい!ここ、どこだ?

なんか、変なことになってきたぞ!と、そこに、少女がじーっ!と見つめ、立っていた。

「きみは?」

「......」その少女は、なにも言わなかった。

「なまえ、聞いていい?」と言ってみると「田中瑞季。小学六年生!」

と答えた。瑞季?小学六年生?本当に、タイムスリップしてしまったのか?腕時計を見ると、午後十四時だった。いまから、三十分。

ほんとに、ここにいなくちゃならないのか??

「あなた、だーれ?王子さま?」少女は、首をかしげて聞いてきた。

「王子さま?王子さまを探してるの?」「そうだよ」

瑞季って子。こんな頃から、ここで、王子さま探しをしていたのか。

「その読んでる本、なーに?」

少女は、指を指した。

「え?ああ、これね。これは......」

「こんなところにいてても仕方がないわ。一緒に、神社へお参りしにいきましょう?」

「神社へ?」

「わたし、初詣、まだなの」

初詣?今日、一月四日だっけ。まあ、いいや。ぼくも、初詣すましとこ!と思い、その子と、神社へ行くことにした。入り口を越えたじゃり道。ひとは、まばらにいる。奥のほうへ、奥のほうへ、ぼくらはすすんでいく。けいだいのところまできた。

「瑞季ちゃん、お金持ってる?」

「持ってない」

そうだよね。と思い、おさいせんをあげようとすると、一円玉が見つからない。どうして、こんなときに限って、一円玉がないんだろう。二百円しかなかった。

「はい」

瑞季ちゃんに、百円玉を渡した。

「ありがとう!!」

すごく、喜んでくれた。ぼくも、百円玉をさいせん箱に放り込んで、お参りをした。「なにを、お願いしたの?」

瑞季ちゃんが聞いてきた。

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