リスタート

ナナシリア

リスタート

 ――この場所を出て立った舞台で、わたしはちゃんと、戦えるだろうか。




 卒業の捉え方は、きっと人それぞれだ。


 今の生活が楽しい人たちは卒業したくないかもしれないし、早く今の生活から抜け出したい人は卒業が待ち遠しいだろう。


 わたしも、卒業が待ち遠しいうちの一人だ。


 中学生活が嫌いだというわけではない。わたしにはわたしなりの楽しみ方ができたと思ってる。友達も何人か作れた。


 わたしは、新しい世界が見たい。


 例えば中学卒業は、中学校生活のゴールであり、高校生活のスタートだ。


「どこ高校なんだっけ?」


「わたしは、永戸南高校」


「ええ、どこそれ」


 仕方ない、この学校から永戸南に進学する生徒はわたしだけだ。


 彼女も悪意がある言い方ではないし、本当に知らなかったのだろう。


「永戸駅から徒歩二分くらいの高校。偏差値54ぐらい」


「へえ、頭いいんだね」


「いやいや、そんなことないよ」


「でもうちよりは賢いじゃん」


 会話が楽しくないわけじゃないけど、どこか惰性的。


 中学を卒業してリスタートしたとしても今とはなにも変わらないかもしれない。


 でもやっぱり卒業には希望を持ちたい。


 だって、これまでの生活が昇華する日だから。

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リスタート ナナシリア @nanasi20090127

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