転職
野林緑里
第1話
「今月いっぱいで退職させていただきます!」
「なにを突然! 君がいてくれないと困るよ!」
私が退職願を出したとき社長は慌てふためいた。
二十歳にこの会社に入ってから20年。まじめにやってきた私は上司や部下にも信頼が厚く、重要案件を任されることが多かった。だから、突然の申し出に納得いかない人たちも多い。だれもがどうにか止めようとしてくるのだが、聞き耳は持たない。
今年で40歳。
子供はまだ小学生にあがったばかりだというのになぜいま辞職などしてしまうのかと何度も問い詰められた。
だからなに?
子どものためにいつまでもここにいろというの?
そうじゃないでしよ。
べつに専業主婦をするわけではない。
転職するだけだよ。
それに旦那の稼ぎもまあまあいいから、私が働かなくてもなんとかなるのだ。
まあ、専業主婦というのは悪くはないけど性にあわない。子育てにだけに専念するなんて育児ノイローゼになりそうでいやだ。
だからもちらん今後も働くわ。
でも、ここではない。
私がずっとやりたかったことをやるだけ。
そういうこと妥協してきたんだから、これからは子育てしながらやりたいことをやるのよ。
重大決心したというわけ。
そういうわけで
私はいままで務めた会社を退職することにした。
だれもが説得しようとしてきたけど、頑として譲らない私に結局は社長も折れることになる。
晴れて退職することができたわけよ。
退職してすぐに私のやりたいことのできる会社に転職が決まった私は意気揚々と新しい会社へと向かう。
よし、
これからがスタートよ。
再スタート!
仕事も子育てもがんばるぞーー!
転職 野林緑里 @gswolf0718
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