第38話 エピローグ
「おんぎゃおんぎゃ!!」
「ああ、ネムちゃん、よしよし」
ゆっくりと抱き上げられた俺は、ミサの腕の中で、ひとしきり大声を上げた。
そんな俺に、哺乳瓶が咥えさせられる。
うーん、ちゅーちゅーと特製ミルクを飲む動作にも、もう慣れてしまったな。
「すまない。遅くなった」
日用品の補充に行っていたもう一人の俺であるゴーレムが部屋へと入ってくる。
「シュヴァル様、ちょうどネムちゃんも起きたところでした」
「ああ、それにしても……」
ミサの抱っこする俺本体であるネムの姿を見つめる。
幸せそうにほんのり赤いほっぺはぷくぷくと柔らかそうだ。
何よりも、以前より少し大きくなった気がする。
「成長はしないものかと思っていたのだが」
「もしかしたら、呪いが弱まってきているのかも」
「そうだといいな」
子どもの成長を見守るちゃんとした親の気分というのは、こんな感じなのかな。
まあ、今は、子も親も俺なんだけど。
そんなことを考えながら、最近指定席になりつつある、宿の木製の椅子に腰掛ける。
あれから1週間。
最近の俺の日常はこんな感じだ。
宿の一部屋に連泊し、ミサとネムとシュヴァルの3人で過ごしている。
ミサは精霊使いとして、ギルドに登録し、一目置かれる存在になった。
俺の方も、キリカさんの計らいで、特別に色々と面倒な手続きをすっ飛ばして、冒険者登録してもらうことができた。
おかげで今では、ミサと正式なパーティーとして、冒険者活動ができている。
なかなか忙しくて、ゴーレムのアップデートは遅々として進んでいないが、取り立てて不都合もない。
全体的に見れば、比較的穏やかな日々を過ごせていると言っていいだろう。
「そう言えば、ルーミさんが、また、受けてほしい依頼とあると」
「泣きついてきたのか?」
「えーと、あの……はい……」
相変わらずだな。
仕方ない。行くとするか。
鎧にマントを取り付け、大剣を背負う。
ミサも転職したことで新調した装備へと袖を通した。
そして、ネムを乳母車に乗せれば、お出かけ、もとい、冒険の準備はバッチリだ。
宿を出ると、柔らかな風がネムの頬をくすぐった。
風の精霊達も、ネムのことを見守ってくれているのかもしれない。
「さあ、行こうか」
「はい、シュヴァルさん!!」
異世界にて。
俺の幸せへの第一歩は、ようやく踏み出されたのだった。
キミの魔力で育ちたい!!~2度目の人生でも親ガチャに失敗した俺は、美少女達にバブみを求めてオギャります~ GIMI @gimi
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