1.追いついてみせる
学校の駐輪場を抜けた俺は、教職員用駐車スペースに向かった。
本来であればここから学校がレンタルした貸切バスに部員全員で乗車し、郊外にある『
いや、バスは予定通り出発したのだ。
俺を残して。
「大丈夫、まだ諦めんな」
己を鼓舞するように独り言ちる。
そうだ、諦める訳にはいかない。
俺は今日に賭けている。
その時ジャージのポケットに入れていた携帯が震え、開いてみるとマネージャー兼務の一年部員・
『
俺はそこで溜まりに溜まったメールを遡って確認していく。
『すいません、先行きます。学校に来てたら、裏のセイコマ前のバス停から広郷行のバスが出てるらしいんで、追いかけて来てください』
『
『宇佐美どうした?大丈夫か?電話でてくれ』
『うーちゃん早く来い。学校で待ってるよ』
キャプテンからも来ている。みんなに心配をかけて、俺は……。
ダメだ、立ち止まっている場合じゃない。
俺は顔を上げ、学校裏に建っているコンビニに向かって駆け出した。
裏門を抜けると道路の向こうからバスが来ているのが見える。
あれか?
迷わずダッシュする。
俺はスプリンターだ。絶対間に合う。
――絶対に追いついてみせる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます