借金勇者 お姫様の護衛暮らしのスタート

ムネミツ

 借金勇者 お姫様の護衛暮らしのスタート

 「え? 何で俺は教会にいるんだ?」


 目が覚めて周りを見回すと、俺がいた場所はダンジョンではなく灰色の石造りの壁にレッドカーペットが敷かれた教会だった。


 自分を見れば、家宝の勇者の剣と盾に黄色のチュニックと勇者ルックだ。


 装備は盗まれなかったらしい。


 「おお、勇者ライトよ♪ 蘇生おめでとう♪」


 頭に太陽のマークのついた帽子を被り、太陽が描かれた赤い法衣を着た老人男性。


 この教会の司祭様かな? 多分そうだろう、田舎者の俺でもわかる。


 「えっと、司祭様? 俺は一体どうして死んでたんでしょうか?」


 これでも勇者の血を引き、田舎でも剣で魔物は畑仕事しつつ狩ていた。


 剣の腕も魔法もそこそこ腕は立つ、レベル十五だ。


 何であんな初心者向けのダンジョンで死亡したのかがわからん!


 俺が悩んでいると、教会の入り口のドアが大きな音を立てて開く。


 ドアの向こうから、一人の人物が現れた。


 「お目覚めですか、勇者ライト?」

 「どちらの姫君であらせられますか?」


 棺桶から出た俺は、現れた白ドレスにティアラと言う姫君姿でオレンジ色の髪の豊満な美少女に片膝を手てて一礼する。


 「はい、この国の第十五王女のオランジーナと申します♪」


 十五王女、上に十人以上姉妹がいるって王様すげえな。


 「もしかして、姫が俺を運んでくれたんですか?」

 「ええ、蘇生費用は立て替えましたので返していただきます♪」

 「ありがたき幸せ。 しかし、お返ししたくとも持ち合わせがございません」


 うん、本当に俺には金がない。


 迷宮の入場料で使い切った。


 「では、ライト様のお体で払っていただきますわね?」

 「喜んで、結婚して下い♪」

 「それは、借金を返し終えたらで♪」


 サラリと流された。


 司祭様は俺達のやりとりを笑顔で見てるだけ。


 油断していた俺は、お姫様に縄付きの首輪を嵌められていた。


 「さあ、勇者様♪ これより私の護衛を務めていただきますわよ♪」

 「え、ちょっと! 俺のこれからの、食う錬る所に住む所は?」

 「ご用意いたします、生活費は借金に上乗せいたしますのでお覚悟を♪」

 「マジか! 何で死んだのかもわからねえのにあんまりだ!」

 「生きているのですからお気になさらず、さあキリキリ働いていただきますわ♪」


 オランジーナ姫に縄を引かれ、彼女と教会を出て行く俺。

 

 こうして、俺の借金返済の為の護衛暮らしが始まったのであった。

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