読んだら●ぬ小説

押見五六三

引き返してください……

私ね、「聞いたら死ぬ音楽」や、「見たら死ぬ絵画」は実際に存在するから、「読んだら死ぬ小説」が無いかを調べてみたんですよ。

でもネットで調べたら「読んだら死ぬ小説」や「読んだら死ぬ本」って、現実世界には存在しないみたいなんですよね。

でも、本当に無いのか疑ったんです。

だって本当は存在してたとしても、読んだ人は亡くなったんだから、分からないじゃないですか。

それでね、統計を取る事にしたんです。

どうやったかと言うと、不謹慎だと思いましたが、最近亡くなった方が出たお家に行って、故人が最後に読んだ本や小説のタイトルを聞いて回ったんです。

三千世帯ぐらい回ったかな……。

ほとんどが断われたり、覚えていないと言われましたが、なんとか二百件ぐらいのデータが取れました。それでね、何とそのうちの九件で同じタイトルの小説が被ったんですよ。被ったタイトルは、その小説以外存在しませんでした。

つまりこのタイトルの小説こそが、「読んだら死ぬ小説」なんです。

しかも意外な事にこの小説は紙の本では無く、ウェブ上にしか存在しない電子小説なんですよね。

気になるその小説のタイトルなんですが、実は【読んだら●ぬ小説】と言う、そのままのタイトルなんです。

もし、あなたがウェブ小説アプリでこのタイトルの小説を見かけても、絶対に最後まで読まないで下さいね。

最後まで読んだらカウントダウンが始まります……。



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