第10話
1990年代、株と不動産のバブルは終わった。祭の後の疲れ切った日本経済は株や不動産などと騒ぐ人も少なくなりマスコミや業界人もすっかり成りをひそめてしまった。
21世紀ではすべてがデジタルに移行しようとしていた。証券会社もネット証券に移行して取引はすべてネット上で完結する自己責任の世界になっていった。自分で考え決断するのであるから投資家としての自覚と勉強はより一層迫られようになってきた。
僕はなんとか首の皮一枚でつながったが株式市場に参入する気力もなく数年は遠ざかっていた。休日の日は図書館通いを続け自己反省をしながらも経済や株の本を読みあさっていた。僕にはまだどこか女々しいところがあり、なにか株で儲かる本はあるんじゃないかと探しまくった。 結論を言うと絶対もうかる本も方法もないということだ。しかしリスクを最小限に抑えながら着実に利益を上げる方法はあるという結論だ。つまり投資家の原点にかえることだ、会社の成長と安定に重点を置きその会社の株を買い、配当を得る。配当金と株主優待を合わせて1割くらいの利回りの会社は結構あるものだ。投資家の王道はインカムゲインなのだ、つまり配当だ、一般投資家は株というと上下してなんぼ、キャピタルゲインばかりをみてしまう、一喜一憂をして結局、損をしてしまうことがほとんどだ。
最近、いろいろなネット証券がオープンして情報を発信しているのでサイトをのぞいてみて隔世を感じた。20世紀の株式投資とは次元が違う、正論と思える情報や地獄へのいざないと思える情報や百花繚乱の状態である。僕はまったく違う世界に挑戦をするという新たな気持ちも少しずつ沸きつつあった。
10数年間の株式投資で天国と地獄を行ったり来たりの貴重な経験は今後の投資ビジネスにどれだけプラスになるか未知数であるが経験と勘と自己管理能力は格段に上昇したと自負している。
作今、政府はバブル崩壊のほとぼりも冷めただろうと、いよいよ国民参加型の秘策を打って出た。ニーサという制度である。つまり投資家1人当たりの投資額1800万までの投資から得られた利益は非課税にするという。今までは2割の税金をかけたのだから歴史的な大盤振る舞いに走ったことになる。政府は経済活性化の起爆剤になると自信満々である。果たして思惑通り進むのか、それとも2たびお祭りは始まるのだろうか。これからの投資家はバブルを経験していない人達が大半である。僕が危惧しているのは神の見えざる手である、投資はグローバル化している。魔の手はどこからでも入ってくる。
ずぶしろくんの泡踊り 小深純平 @estate4086
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