第9話

 不動産価格は国の規制で完全に下落に転じた。株式市況も下落に拍車がかかり歯止めがかからない状況になってきた。国もさすがに焦りさまざまな政策を打ち出すが、効果はなくだらだらと下げ続けた。

 一般投資家やプロの投資家も不動産と株に踊った連中は、毎日、真綿で締め付けられるような状態が続いていた。そんな折、日本の名だたる銀行や証券会社までが相次いで倒産して、僕は日本経済の存続の危機すら感じだしていた。

 1990年代は不動産と株の不良債権処理が、なりをひそめながら続けられていた。さながら祭りのあと片づけをやっているようなものだった。

 僕はといえば荒海の中で漂う笹船みたいなものでなすすべもなく漂っていた。信用取引の持ち株は次から次へと損切を迫られて資金は限りなくゼロに近付いていった。結局、僕は信用取引の清算をしたところで疲れ切ってしまい株式市場から完全に退場した。

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