第8話
電話がけたたましく鳴り響く。証券マンからだ。追証の連絡だ。とうとう来る時が来てしまったと、僕は新たな覚悟をした。
保証金は幸い持ち金でカバーできたので損切は免れた。しかし株価の下落が続けば次々に追証が発生してしまう。損失の連続になるだろう。
相変わらず株の動きに精彩はなかった。反して不動産市況が活況を呈している。日本の不動産業者がアメリカにも進出してアメリカの名だたるビルを買いあさってアメリカ人の顰蹙を買っていた。そのころ日本の総理が不動産に関しては神経質になり地価を抑えようと躍起になってきた。総量規制だの税制だのと不動産市況は国の管制の様相を帯びてきた。
まもなく、不動産市況も低迷し売りの気配になってきた。上がった物件は下がり続け、勢いづいて元の値段を割るものも続出した。担保割れ続出で銀行は不良債権化するのを恐れて清算をせまった。
不動産市況に参加している人たちは元々、借り入れで買った物件が大多数なので余裕資金などあるはずがなかった。倒産続出である。銀行も共倒れの様相になっていった。。
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