短編作品まとめ

代わり映えしないこの世界を1秒でも多く生きられたらいいね

　来世はおんなじゆめの中ですごしたいなア

　ぼくが思いつきのまんま零したほんの小さな言葉の一欠片を、貴方（きみ）はいとも簡単に掬（すく）いあげる。

　おんなじゆめってなアに？

　う~ン、まだよく分からない。ただ同じことを一瞬でもいいから思って、同じ方向にすすめたらなって。

　ふ~ン……じゃア、あたしでもいいのかしら、それって？いいンなら立候補しちゃおうかしらん……。

　少し考えるような表情（かお）をしながら貴方は言う。

　君がいいんだけどなアとぼくは苦笑したくなる。

　普段そういうことはあまり言わない貴方がそんなふうに言ったことにも少し驚きながら、やはり照れ臭いので

　別にいいよ、君でも。

　なんて心にもないことを言う。

　嬉しそうに貴方は笑った。弾けるシャボンを彷彿とさせるその笑顔に、ぼくは惹き込まれる。

　あァ、やっぱり貴方は綺麗だなア。