鷹の翼ーDetectiveKP

第2話 堀田の話

岸。お前、平井紫音の傷害事件知ってるよな。

俺は、平井の傷害事件の時に平井の取り調べをしたんだ。

５人対1人であそこまでコテンパンに奴らをのしてたんだわ。

あいつは圧倒的に強かった。でも、相手が悪かった。

佐々木呂鋳、こいつがハングレ集団のリーダー格だったんだが、実は父親が佐々木大胡、つまり当時の警察庁の長官だった。

あの事件、平井の起訴になったらしい。どちらかというと、平井は被害者だ。絡まれてる高校生を助けて、その後あのハングレをコテンパンにやっつけた。

事件の起訴後に知ったんだが、

佐々木呂鋳は野口組とも関係があると噂されていた。それを父親があらゆるところに手を廻してもみ消していたんだ。

傷害事件の際も、呂鋳とその手下から薬物の陽性反応も出ていたという噂だった。

俺は、平井の事情聴取を受け持った。調書を書いて提出した後、俺は早々にその事件からは外されたんだ。

後で知ったが、俺の調書は改ざんされ、その後起訴されたのは平井だけだった。ハングレは、入院するぐらいの怪我を負ったというが、それも眉唾だ。ただ、平井自体はほとんど怪我もなく、ピンピンしていたらしい。

しかも、平井が助けたという高校生はそのあと出てこなかった。

その高校生でも出てきたらよかったんだろうけどな。

おれも、事件から外されていたから、それ以上は首を突っ込めなくなった。

でもな、横田さんのところに平井が来たと聞いて、やっぱり申し訳なくてな。

もう一度、調べてみようと思ったんだよ。

あいつはさ、正当防衛なんだよ。圧倒的に強すぎて、相手がかなわなかっただけで。

しかも、奴らは刃物とかも持ってた。平井は素手だ。

本来、起訴されるべきじゃなかった。ただな、証拠がないんだ。

すべての証拠が偽造されてる疑いがある。

最近になって、またあの事件を掘り起こし始めた奴がいる。

特別公安部が動いてる。三宅管理官のきもいりらしい。そして動いてるのが北山だ。

北山には紫音たちをあまり刺激するなと言ってあるんだが。あいつが言うこと聞くとは思えんしな。

岸もちょっと気を付けていてくれ。